アルファード/ヴェルファイアはなぜガソリン車が圧倒的なのか?

高価で燃費よいHVと良質廉価な4気筒エンジン車

アルファードハイブリッド「エクスクルーシブラウンジ」。リアゲートには「E-Four」のバッジも付けられるが、外観上はガソリン車と大きくは変わらない

 そして車両重量が2トン前後となる上級ミニバンのハイブリッドにとって、後輪のモーター駆動を加えることで、電気を使った加速力の増強と、燃費の調和にもE-Fourは効果を表すに違いない。

 実際、ハイブリッドの燃費は今日のWLTCモードにおいて14.8km/Lとなっており、ガソリンエンジンで低価格帯となるFFの2.5L直列4気筒エンジン車でも最高で10.8km/Lである。重いミニバンを快適に走らせながら、燃費は1.3倍以上だ。

 ガソリンエンジン車には排気量3.5LのV型6気筒エンジン搭載グレードの設定があるが、現行のアルファード/ヴェルファイアが登場した2015年時点で試乗した際の印象を振り返ると、2.5L直列4気筒のガソリンエンジン車の印象が大変よかったことも、ガソリンエンジン車に人気が集まる要因ではないだろうか。

 一般的に、V型エンジン車もありながら、低価格実現のため直列4気筒エンジンも車種に揃える上級車の場合、直列4気筒エンジン車は加速や振動・騒音などの点で上質さを欠き、実用性重視の印象を与えることが多い。

 だが、アルファード/ヴェルファイアは、単に車両重量がV6やHVに比べ軽くなるだけでなく、車両の前後重量配分も前輪側が55%、後輪側が45%で調和がよく、タイヤの接地感覚も大変よく手ごたえが確かで、後輪に落ち着きのある走行安定性にも優れていた。

 走行中の静粛性も優れ、上級ミニバンとしての満足度が非常に高かったのである。

 現行のアルファード/ヴェルファイアの開発に際して目指した、新しい未来の高級車を想像する『大空間高級サルーン』の価値を、直列4気筒エンジン車で充分実感することができたのである。そのときの様子は、いまも印象深く記憶に残っている。

ガソリン車人気の裏に「消費者の的確な目利きと正直な動機」

3.5L・V6エンジンを搭載するヴェルファイア「Z“Gエディション”」。価格は466万4000円だが、エントリーモデルの2.5L直4エンジン車なら352万円からとリーズナブルだ

 そのような乗り味を実現するため、サスペンションは前輪側にマクファーソンストラット、後輪側にはダブルウィッシュボーンを採用し、走行性能を高めたうえで、ガソリンエンジン車は運転を楽しめるサスペンション設定とし、ハイブリッドでは2列目の乗り心地を重視した設定に分け、2種類の乗り味を用意したとのことであった。

 そうした取り組みも功を奏し、2.5LガソリンエンジンのFF車は壮快な運転を楽しめたのである。

 確かに燃費ではハイブリッドに譲る。しかし、購入予算の面でも、クルマとしての性能や快適性など実用の面においても、2.5Lガソリンエンジン車の充実感は高く、選ぶ理由がそこに存在する。

 トヨタの調査によれば、ガソリンエンジン車は家族のクルマとして購入される例が多い傾向にあり、家で数台クルマを保有するうちの一台として、大勢で出かけるときなどに重宝しているようだ。複数所有の場合、やはり「価格」は重要な要素になる。

 一方のハイブリッドは、企業の役員用に使われる例があり、環境を意識した会社の印象を高めたり、車内で仕事をこなす時間に追われた日常の中で、静粛性や快適性を重視した乗り味が役立ったりするのだろう。

 したがって、アルファードとヴェルファイアどちらにおいても、ハイブリッドに比べガソリンエンジン車の販売台数が多いという結果は、消費者の的確な目利きと、正直な動機が見事に表れているといえる。

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