C-HR ヴェゼル CX-30 激辛口!! 400万円以下SUV日本選手権

■ホンダ ヴェゼルツーリングModulo X

●「重量級SUVのような乗り味」

●全長4335×全幅1790×全高1605mm、ホイールベース2610mm、最低地上高170mm、車重1360kg ●1.5Lターボ ●172ps/22.4kgm ●CVT ●356万7300円

 デビューから7年目に突入しながらも安定した人気を誇るヴェゼルに、ホンダアクセスが手を入れたコンプリートカー「モデューロX」が登場。今回は1.5Lターボエンジンを搭載するツーリング(FF車)をテストした。

●鈴木利男氏の試乗

 低速でゴツゴツくるね。足が硬い。でも、この硬さがスポーティさを感じさせるという面もあるよね。

 路面からの当たりはゴツゴツと硬いんだけど、ボディはフワフワしてます。足の硬さのわりにボディの動きが抑えられていない印象なんです。サスペンションというよりタイヤが硬いのかな?

 車重は1360kgとそれほど重くないんだけど、動きが重く感じられます。よくいえば重厚感のある乗り味だけど、コーナリングで大型SUVのようなロールのしかたをするんです。

 重心も高く感じるし、このサイズのクルマから想像するような軽快感はあまりなく、操舵に対する動きの遅れも感じます。

モデューロXとしては初めての専用フロントシートを設定。ブラックを基調としたインテリアはスポーティさを強調

 高速コーナーではフロントの沈み量が大きくて、この点ではCX-30のほうがしっかりしていました。ヴェゼルは路面の凹凸に対する上下動が大きめです。

 でも、スピードを上げると印象が変わりますね。荷重が増えるとタイヤがたわむのか、低速でのゴツゴツ感がなくなって乗り心地もよくなります。やはりタイヤの表面が硬いんでしょうね。

左がC-HR GRスポーツ、右がヴェゼルモデューロX。ともにメーカーがカスタマイズしたワークス系のスペシャルモデルだ

 飛ばすとコーナリングの安定感が増します。そういう味付けなんでしょうね。もしかしたら専用エアロの空力効果が出ているのかもしれません。

 1.5Lターボエンジン(172ps/22.4kgm)はトルクがあっていいですね。

 それほどスポーティな感じでもないんですが、必要十分なパワーとトルクがあって、不満を感じることはありません。

空力性能を向上させるモデューロXの専用エアロ。サスペンションも専用だ

●鈴木氏「走りの結論」

 スピードを上げるほど安定してくる足回り。ただコンパクトサイズのわりに軽快感はさほどなく、大きなSUVのような走りの印象となる。

■三菱 エクリプスクロス ブラックエディション

●「ちょっと速めのペースがいい」

●全長4405×全幅1805×全高1685mm、ホイールベース2670mm、最低地上高175mm、車重1550kg ●1.5Lターボ ●150ps/24.5kgm ●8AT ●318万6700円

 昨年1年間の平均月販台数約652台。今年1月の販売台数も573台と、SUVブームの波になかなか乗れない印象のエクリプスクロスだが、過小評価されている面はないか? と今回の特集に連れ出した。試乗車は1.5Lターボを搭載する4WDだ。

●鈴木利男氏の試乗

 うーん、どう表現すればいいのか難しいクルマですね。これといった特徴がないんですよ。1.5Lターボエンジン(150ps/24.5kgm)はパワーよりもトルクを重視した設定のようだけど、レスポンスがちょっと鈍いし、際立った部分がありません。ただ音は静かです。

 低速での乗り心地もイマイチかな? ヴェゼルと一緒で、このクルマもスピードを上げるほど快適性が増す印象はありますね。また、8速ATのパドルシフトのレスポンスは悪くない。

 スピードを上げるほど乗り心地はよくなるんですが、高速コーナーでは大きな荷重に対して足回りが負けてしまう印象があります。

ブラックとシルバーで彩られたインテリア。トランスミッションはパドルシフト付きの8速ATを搭載している

 コーナリングでフロントの沈み込み量が増えて不安定になり、また、そこから急に巻き込んで入っていくような挙動もありますね。

 S-AWC(4WDシステム)の駆動力配分によるものなのか、トルクベクタリング効果を狙ったブレーキ制御によるものなのかわかりませんが、少し違和感があります。

三菱自慢の4WDシステムS-AWCを採用。また、このガソリンターボのほか2.2Lクリーンディーゼルも設定

 このクルマは「ちょっと速めのペース」で走るのが最もいいのでしょう。低速ではゴツゴツくるし、高速では足が荷重に負けるから、その中間がスイートスポットなんだと思います。

 もともとスポーティな走りは狙っていないんじゃないでしょうか。それよりも実用走行域で乗りやすいクルマを目指している。そんな印象を抱きます。S-AWCは雪道やオフロードで威力を発揮するのでしょう。そのへんは三菱のクルマらしいと思います。

ブラックエディションはフロントグリル、アルミホイール、前後スキッドプレートなどがブラック塗装となっている

●鈴木氏「走りの結論」

 オンロードを走っているぶんにはこれといった特徴のないクルマ。国産車には希少なディーゼルターボエンジンでこそ光るクルマなのかも。

次ページは : ■テストを終えて

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