ノアが215万円の時代があった!? 昔のクルマは安かったのに!! なぜクルマはここまで高くなった理由と事情とは

ノアが215万円の時代があった!? 昔のクルマは安かったのに!! なぜクルマはここまで高くなった理由と事情とは

 食料品から日用品まで、身近なモノはほとんどが値上がりしている昨今。自動車も例外ではなく、軽自動車でも300万円以上する時代がやってきている。どうしてクルマはこんなにも高くなってしまったのか。その理由と事情に迫っていこう。

文:佐々木 亘/画像:トヨタ

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物価上昇と同様にクルマの価格も上昇?

ノアの祖先とも言えるタウンエースは当時215万円だったのに対し、現在ノアの価格は約358万円にもなっている
ノアの祖先とも言えるタウンエースは当時215万円だったのに対し、現在ノアの価格は約358万円にもなっている

 近年の物価上昇率は非常に高いが、30年という長いスパンで見ても、モノの価格は上昇している。電気・ガス・水道といったライフラインの価格は1.3倍程度となり、食料品も1.5倍くらいの上昇率だ。モノ全体で見てみると、この30年間で物価は約1割上昇している。

 ではクルマはどうなのか。例えばトヨタ・ノアで見てみよう。1998年登場のタウンエースノアの専用エアロバンパーなどが付いたロードツアラーがメーカー希望小売価格215万円だった。現在、ノアのS-ZグレードガソリンFFモデルは357万9400円となっている。約143万円の値上げで、30年前の価格の6割増しといった状態。

 その他の車種も物価上昇率よりも、価格の上昇率は高くなっており、世の中のモノが高くなったから、クルマも高くなったとは言えない状態になっているのだ。

 なぜ、こんなにもクルマは高くなったのか。

クルマに付加価値が付けられた

ただ走るだけだったクルマは徐々に安全装備やインフォ設備が揃い、機能も昔とは比べ物にならない充実さだ
ただ走るだけだったクルマは徐々に安全装備やインフォ設備が揃い、機能も昔とは比べ物にならない充実さだ

 車両本体価格上昇の最大の要因は、クルマに付加価値が付いているということ。シンプルに走るだけだったクルマに、インフォテインメントシステムが進化して装着され、安全装備が搭載された。さらに予防安全技術も次々に増えていき、クルマには今や何台のカメラが備わっているだろうか。加えてセンサー類も多様に装着されている。

 これによって運転のしやすさを高めるなどの付加価値が乗って、クルマの値段はどんどん高くなっているのだ。どの産業もそうだが、今のモノに何か+αを乗せて買ってもらわないと、産業が成り立たない。法的規制(バックモニターの標準化など)や、ユーザーニーズの高まりにかこつけて、値段を上げるということは、自動車業界の歴史の歩み方なのである。

 ただ、ユーザーの中には「シンプルなものが欲しい」という声もあるため、グレード体系を作り、シンプルなモノから付加価値バリバリに付いたものまで販売するというのが自動車メーカーやり方。

 こうしたやり方は、今後も続いていくため、簡単にクルマの価格が下がるということは無いだろう。

コロナ禍でユーザーの感覚も変わってしまった

4-5年前とはクルマを買うスタンスも大きく変わってしまった。クルマが高くても売れてしまう時代はいつか終わるのだろうか
4-5年前とはクルマを買うスタンスも大きく変わってしまった。クルマが高くても売れてしまう時代はいつか終わるのだろうか

 コロナ禍や不安定な海外情勢を背景に、クルマが買えない(買っても届かない)という時期が長く続いた。もはやクルマの納期が長いということが、最近は当たり前になりつつある。

 10年も時間を遡れば、値引き交渉はバリバリ、クルマは1カ月も待てば新車が納車されることが当たり前だった。しかし、コロナ禍を経て人々の感覚は大きく変わってしまって、値引きをせずとも早くクルマが来る方が良い、といったものになってしまっている。

 どのメーカーも、日本のユーザーは待ってくれるという認知になってしまい、生産工場を限定して、クルマを複雑な設計にして性能を上げることが可能になった。

 つまり値引きはしなくても売れるし、クルマを本気で増産しなくても待ってもらえる。クルマはより複雑化して価格が上がるというサイクルが、生み出されてしまっている。

 実際問題、まだ販売の現場では「高い」と感じながらもクルマを購入していく人がたくさんいるし、その人たちは長い納車待ちの期間を文句も言わずに待っている。筆者も2025年に新車が納車されたが、注文から半年待ち、価格も「10年前だったらもうワンランク上のクルマが買えるよね?」という値段で買わざるを得なかった。

 今問題なのは、一部の高性能車だけでなく、一般乗用のクルマまでもが軒並み高くなってしまっていること。普通のクルマを買いたい普通のお客さんには、そろそろクルマは見限られてしまうのではないかと思っている。近い将来、クルマがピタリと売れなくなる時が来るのではないだろうか。

 そうならないよう、作る側も売る側も胡坐をかかずに、誠心誠意の努力を惜しまないで欲しい。

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