かつては日本でも充実した顔触れが揃っていたホットハッチだが、エコカーやミニバン、SUVブームなどに押され、車種やニーズも激減。クルマ好きにとってホットハッチの雄は、欧州ブランドとなっていた。
しかし、そのポジションにも大きな変化が生じている。欧州で実施される、厳しい排ガス規制の影響だ。
欧州では、2021年に、1kmあたりのCO2排出量を95gまで抑えることを目標に掲げ、自動車メーカー各社には、それぞれの車両重量や販売台数を反映した目標値が定められている。
各社ともに、前向きなコメントを発表するも、目標値の達成は、現実的とはいえず、ほとんどのメーカーが、超過による罰金を払うだろうといわれている。
その思わぬ余波を受けたのが、欧州のコンパクトホットハッチだ。
Cセグメントのホットハッチに比べて、販売台数が多いわりに、商品として値ごろ感が求められるだけに、罰金ぶんを上乗せすることができず、商品として成立しなくなってくるというのが絶滅の危惧が指摘されている点だ。
そこで、今買っておくべき、ミニマムなユーロホットハッチを厳選して取り上げてみた。
文:大音安弘/写真:VW、RENAULT、SMART
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フォルクスワーゲン up! GTI
価格:234万2000円
VWのGTI3兄弟の末っ子である「up! GTI」は、将来が危ぶまれる1台だ。導入限定車は、瞬く間に完売。翌年より日本には、特別仕様車として導入されている。
小さなボディからやんちゃな走りが想像されるが、GTI兄弟らしく、GT的なキャラクターに仕立てられており、ロングホイールベースの恩恵で、高速安定性もよく、サイズから見ると、室内も割とゆったりしている。
1Lの3気筒ターボは、116ps/200Nmを発揮。元気な3気筒サウンドを奏でながら、ビンビン吹ける。MTも6速と手抜き無し。
生意気にもGTIのアイコンは、しっかりと取り入れているところもお洒落。シートの出来もよく、ロングドライブも疲れにくい。
価格もGTIとしては、破格の234万2000円。特別仕様車からは、バックモニターとバックソナー、300Wのハイエンドオーディオ「beats audio」も標準化。一押しのユーロホットハッチだ。
ルノートゥインゴS
価格:179万円
実用車ながら、リアエンジン・リア駆動(RR)を採用したユニークなフレンチ・ミニが「ルノートウィンゴ」だ。
2019年8月にマイナーチェンジを行ったが、残念ながら人気のスポーティグレード「GT」が廃止に……(本国も同様に廃止)。すでに、国内の在庫も完売した模様だ。
しかし、悲しむのはまだ早い。フレンチベーシックの神髄を楽しめる「トゥインゴS」が、2020年2月に上陸したからだ。
イマドキ珍しい5速MT専用グレードで、1Lの直列3気筒DOHCエンジンを搭載する。73ps/95Nmとスペックは平凡だが、車重はたった950kgなので、限られたパワーをフルに活用した軽快な走りが楽しめる。
前期型に設定されたゼン(MT)の後継グレードだが、エンジンを新型に換装しているのも特徴のひとつ。
装備は一部簡素化されるが、基本的なものはしっかりと抑える。何よりも179万円という価格が魅力的だ。
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