CX-30が元王者C-HRを逆転!! そんなにいいのか? マツダで一番売れる理由

■走りはよくてもコストが高すぎて競争力の低い技術

 スカイアクティブXは走りのよさは申し分がないのだが、ネックになっているのは価格のバカ高さである。

 2WD車の車両本体で比較すると2Lガソリンの「20S プロアクティブ」が261万2500円、1.8ディーゼルの「XD プロアクティブ」が288万7500円に対して「X プロアクティブ」329万4500円だから、「20S」に対しては68万2000円、ディーゼルには40万7000円も高い。

SKYACTIV-Xは、通常のガソリンエンジンのような火花点火(SI)ではなく、ディーゼルエンジンのように圧縮着火(CI)する。「M Hybrid」と呼ばれる24Vのマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる(写真はマツダ3搭載のスカイアクティブX)

 さらにプラスされるのは燃料費である。スカイアクティブXはハイオクガソリン奨励だから、レギュラーガソリンより約10円/L高く、ディーゼルの軽油より20円以上高くなる。その分燃費が良いが、価格差はカバーできないだろう。

 走りのよさ、快適性などはスカイアクティブXのほうが格段によくなると言われているが、ユーザーがこの価格差をどう見るかで評価の仕方が違って来るが、現時点で販売構成比は10%程度にとどまっているということは、高価過ぎることがユーザーに理解を得られていないといえる可能性がある。

 もともとスカイアクティブ技術によるエンジンはガソリン、ディーゼルとも直噴であり、高圧縮比が必要でシリンダーブロックの強度を高めた材質を使うことでコスト高になるといわれた。

 それに加えて、スカイアクティブXはさらなる高圧縮比と超希薄燃焼による圧縮着火という技術が加わり、さらにマイルドハイブリッドが加わるので、50万円以上もの値上げをせざるを得ない状況になっている。

 これがユーザーに理解され、量産が加速すれば、これによるコストダウンで値下げが可能になるが、現在のような売れ行きだと安くできない可能性がある。

 実際には「コスト高は価格設定をぎりぎりに抑えている。このため販売店にはマージンの引き下げも要請している」(マツダ営業部筋)と説明する。このため販売店はユーザーにスカイアクティブX車を販売する際に値引きを抑えて売っている。

 トヨタだと同クラスの小型車のマージン幅は35万円以上あるが、スカイアクティブ車は20万円程度しかない。これ以上値引きすると赤字になってしまうので、できないのが実情である。

 マツダとしてはスカイアクティブ車の良さを周知徹底させるために、今後試乗車を可能な限り多く配置し、多くのユーザーにハンドルを握って貰い売り込みを強化するものと思われる。したがって今後はC-HRの巻き返しに会い、抜き返される可能性がある。

■現場が感じるCX-30の強みと弱み

●証言:首都圏マツダ店営業担当者
 CX-30自体は人気が高く、売れ行きは好調だが、スカイアクティブX車はシリーズ全体の10%程度と少ない。

 この価格の高さでは売り込むのは難しい。試乗会を可能な限り多く行い、スカイアクティブXの走りのよさを周知徹底するように努めたい。

【画像ギャラリー】元王者「C-HR」をとらえたマツダの本命「CX-30」の注目ポイントを紹介!

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