世界で唯一の水平対向ディーゼル スバルのEE20が日本導入の期待も空しく消滅した理由

さまざまな工夫が凝らされていた

 エンジンの単体重量は+10kg程度と書いたが、実際の重量はガソリン仕様と比較してそれよりも多少増えている。

 それは、ディーゼルエンジンの音や振動に対する振動騒音対策。トーボードやフロントフェンダー周りの対策と、エンジンマウントを当時のフォレスターのターボ系と同じ液体封入タイプにしているから。

 それともうひとつは、デュアルタイプのヒーターが上げられる。ディーゼルエンジンは熱量が低く寒冷地での初期ヒーティングに劣る。

 そこで、スバルでは家庭用エアコンにも使われている空気を圧縮するホットガスシステム+電熱を利用したPTCヒーターのダブルで対応していたのだ。

BOXER DIESELのエンブレムは世界で唯一存在した水平対向ディーゼルの証。日本導入も期待されたが、導入されないまま消滅してしまった

電動化に舵を切ったスバル

 当時のCO2排出量はキロメートル当たり148g。改良により現在ではもっと下がっていただろう。確かに環境に優しい。それでもなぜ生産を終了するのか?

 ひとつには水平対向エンジンゆえ、長いピエゾインジェクターが使えなかったという話を聴いたことがある。真偽のほどは不明だが……。

5代目レガシィシリーズにはユーロ5に適合させたEE20が搭載され2009年のフランクフルトショーで公開され、その後販売された

 当時はデンソー製のソレノイドインジェクターを使用していた。従ってソレノイドでもピエゾ並みの制御ができるよう研究開発中だったはず。

 最終的には年々進化する排出ガス規制クリア(ユーロ7など)するためのコストとのバランスに苦しんだというところではないだろうか。

 それからもうひとつが電動化。スバルは2018年にスバル独自のハイブリッドシステムであるe-BOXERをフォレスターに搭載し登場させた。

 EE20生産終了の理由はe-BOXERの好評を受けて、スバルがより電動化に舵を切ったとも受け取れる。

2018年にスバル独自のハイブリッドシステムのe-BOXERを登場させ、現在はフォレスター、XVに搭載。電動化推進のため次期インプレッサをはじめ拡大採用する

【画像ギャラリー】スバルのクリーンディーゼルは日本導入前に消滅!! 2020年5月現在新車で購入できるクリーンディーゼル搭載の日本車

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