エンジンのスクエア化で全長を短縮
剛性の問題にひと区切りがついたことで、スバルはアルミ合金製のシリンダーブロックを採用し軽量化、さらにロングストローク化することでエンジンブロックの全長を4気筒ガソリンエンジン(EJ20)よりも61.3mm短縮してコンパクト化に成功している。
ん!? ロングストローク化? と疑問に思う読者もいるので説明すると、EJ20のボアストロークは92.0×75.0mmで、これをEE20は86.0×86.0mmへとスクエア化したのだ。
ボアは短くなりストロークは長くなったわけ。ボアが短くなったからシリンダーブロックの全長も短くできる。
全長を短くすればクランクシャフトもさらに短くなるわけで、さらにクランクの剛性も上がるという一石二鳥を達成し、短くなると軽量になるのでそのぶん太くして、ほぼ同じ重量でクランク剛性を確保している。
これらによるエンジン単体での重量増は10kg程度。
もちろん、ディーゼル化のための遮音対策や補助暖房システムの追加などでそれ以上の重量増はあるが、エンジンの全長が短くなったことで重心がセンター寄りになり、それが運動性能を後押ししてハンドリングに貢献している。
ほかに、ターボチャージャーを前方に配置して直下型にしている。
排気効率のいい場所でタービンを動かすのでターボのレスポンスが向上し、キャタライザーをターボのすぐ後ろに配置できるので、エンジン始動後など熱伝導が速くなり環境性をアップしている。
EJ20に対してトルクフル
16.3:1という圧縮比はディーゼルエンジンとしてはごく平均的な数字といえるだろう(通常15~17前後)。そこから搾り出されるパワー&トルクは150ps/3600rpm&350Nm/1800rpmだ。
これを全長が61.3mm長いガソリンエンジンのEJ20と比較してみると、NAの場合同じ150psを発生しながら2400rpmさらに上の回転数である6000rpmで発生する。
しかし、これが最大トルクとなるとディーゼル350Nmに対してガソリンNAは196Nm。その時の発生回転数がガソリン3200rpmに対してディーゼル1800rpmという圧倒的に低回転域でしかも倍近い最大トルクを発生させている。
もちろん、ターボとNAという差があるのだが、これをさらにGT系のターボ+EJ20と比べてみると、最高出力は280psと遠く及ばないものの最大トルクは343Nm/2400rpmとまだターボディーゼルのほうがトルクが低回転域から厚いことが読み取れる。
これには、ディーゼルエンジンの高回転域が使えないという性質が影響しているからなのだが、ボクサーディーゼルの最高回転は4800rpm。ここでエンジンリミッターが作動する。
この回転数自体は、ガソリンエンジンに慣れ親しんだドライバーにとって多少のフラストレーションとともに物足りなさを感じる。
しかし、このボクサーディーゼルの場合、その最高回転域でもディーゼルエンジンにありがちなエンドに近づくに連れて回転上昇が渋くなるサージングのような症状がほとんど感じられない。
だから、ハッと思った瞬間エンジンリミッターに触れ慌ててアップシフトというケースが試乗中何度もあった。
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