トヨタのコンパクトハイトワゴン「ポルテ/スペイド」が9月中旬を以て、生産終了したことがわかった。筆者による独自取材で判明した。
その後最近まで、在庫一掃セールを行っていたが、10月中旬現在ではどの扱い店もほぼ売りつくしており、在庫ゼロの店舗が大半を占める状況にある。
2016年11月9日にダイハツからOEM供給した同タイプの「ルーミー/タンク」を発売したことで、「ポルテ/スぺイドはニーズが急減したので、いずれモデル廃止になるに違いない。」とトヨタ販売店筋で囁かれたものだったが、それがようやく現実のものとなった。
文/遠藤徹、写真/トヨタ、編集部
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ポルテ/スペイドはすでに在庫も皆無で実質「終売」に
生産が終了してから、スピーディに在庫がゼロになったのには理由がある。
ルーミー/タンクの登場以来、販売台数が両モデル合わせても月販500台そこそこと激減状況にあったため、最近では供給方式をある程度受注が貯まってから生産納車するという、変則的な組み立てシステムに変更。
メーカーのモータープールや販売店の新車置き場には在庫がゼロに近い状況だったので、生産が止まれば在庫一掃セールはほとんどしなくて済む状態だった。
ポルテ/スペイドは、2012年7月23日に発売したルーミー/タンクと同じコンパクトハイトワゴンだ。2枚のスイング開閉ドアを運転席側、大開口の電動スライドドアを助手席側に配置する変則的なレイアウトを採用している。
最初はユニークさが受け、女性ユーザーを中心に堅調に売れていた。その後スズキが同じハイトワゴンのソリオを2015年8月26日に発売。
こちらはより使い勝手の良い両側スライドドアを採用し、安全対策のデバイスも最新に進化させたことで、ポルテ/スペイドを大きく引き離す販売推移となった。
これに対抗させるようにダイハツが、ソリオと同じレイアウトのルーミー/タンクを開発。トヨタにOEM供給したほか、さらに自社ブランドでもトールを投入したことで、ポルテ/スペイドはますます影の薄い存在となった。
最近までの販売推移はルーミー/スペイドが月販1万5000台規模なのに対してポルテ/スペイドは500台そこそこと30分の1に後退している。
ポルテ/スペイド絶版の裏にルーミー/タンクの好調と棲み分け
本来であればトヨタはポルテ/スペイドをフルモデルチェンジして、ルーミー/タンクのように両側スライドドアを採用、安全対策も最新の進化バージョンであるトヨタセーフティセンスを装備すれば、人気復活は可能なはずだった。
それをしなかったのは、子会社であるダイハツの分野に開発技術を踏み込むのをやめたためと思われる。
ルーミー/タンクは、ダイハツの軽自動車のノウハウを生かしたハイトワゴンであり、軽自動車づくりの延長線上で開発すれば低コストで仕立てられるとの読みがあったともいえる。

両兄弟車を比較すると、商品力の差がわかる。ボディサイズはポルテ/スペイドの全長3995×全幅1695×全高1680mmに対して、ルーミー/タンクは、同3715×1670×1690mmでポルテ/スペイドの方がひと回り大きいが、全高はルーミー/タンクの方が10mm高い。
室内はポルテ/スペイドが長さ2160×幅1420×高さ1380mm、ルーミー/タンクは同2180×1480×1355mmでルーミー/タンクの方が室内は広い。
車両本体価格は、ポルテ/スペイド=186万2300~224万4100円、ルーミー/タンク155万6500~209万円で20万円以上もルーミー/タンクの方が安い。
エンジンは、ポルテ/スペイドが1.5Lで、ルーミー/タンクは1.0L・NAと同ターボだからNAではルーミー/タンクの方が劣るがターボを選べば走りでは互角といえる。
したがって両方を見比べれば安くて室内が広く、使い勝手のよいルーミー/タンクを選ぶのは当然といえる。
ルーミー/タンクは9月15日のマイナーチェンジで統合し、ルーミーに1本化した。これによって今後月販1万台から1万5000台規模で推移する見通しとなっている。
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