■メグロK3のタンクエンブレムはW800の数倍の手間とコストで生産
メグロ復活にあたって、ベースとなったモデルはカワサキ「W800」。これのカラーリングを前身の「カワサキ500メグロK2」に倣った黒×メッキに仕上げていくことが開発プロセスで大きなウエイトを占めることになり、デザイナーの猪野精一氏が登壇した。
W800をメグロK3に生まれ変わらせるにあたっては、燃料タンクに最も心血を注いだという。
単にメグロK2をコピーするのではなく、メッキに代わって銀鏡塗装を採用したことで、新しいモデルとしてメグロK3を提示することができたという。
銀鏡塗装は、メッキとは光の反射率が異なり、強い光ではくっきり反射し曇天では深みのある発色になるのが特徴。また、キズを自己修復するクリア層を塗り重ねており、深いキズでない限り綺麗な表面を保ち続けるのだ。
そして、キモはやはりタンクのエンブレムで、生産にかかる手間とコストはW800の数倍。エンブレムは通常1色でデザインされることが多いが、メグロは5色となっており、これを再現することで手間とコストが増している。
ちなみにメグロのオリジナルモデルは七宝焼きで色付けしており、当時の高級品としてのメグロを物語っている部分だ。七宝焼きは釉薬に鉛が含まれていることから今ではそのまま適用できないが、メグロK3ではこれを塗装で対応、手間は当時と変わらないという。
マーケティング担当の奥村和磨氏は、メグロはネオレトロではなくトラディショナルだと強調した。メグロK3はK2のモデルチェンジであり、現在進行形で生き続けいることを指しているのだろう。
価格はW800の110万円から127万6000円と高くなっているが、これは伝統が生み出すブランド代。性能やメカではなく付加価値が値を付けることは、日本のバイクメーカーでは見られなかったが、クラシックモデルを強化しているカワサキは今それに成功しつつあるのかも知れない。
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