トヨタ「先代プリウス」をベースとしたハイブリッド専用のステーションワゴン&7人乗りの3列シートミニバンとして、2020年で10年目に入ったロングセラーながら健闘していた「プリウスα」が2021年3月をもって「プレミオ&アリオン」とともに惜しまれながら生産を終了する。
当記事では「プリウスα」が歩んだ軌跡を振り返るともに、プリウスαの新車をオーダーできるタイムリミットも取材した。
文/永田恵一
写真/TOYOTA
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■プリウスαが歩んだ軌跡
トヨタ「プリウスα」は2011年1月のデトロイトモーターショー、同年3月のジュネーブショーへの出展を経て(車名はプリウスVとプリウス+)、同年5月に日本で登場した。
前述したように、プリウスαは先代プリウスをベースにしたステーションワゴン&ミニバンなのだが、プリウスの2700mmから2780mmに延長されたホイールベースを含め、ボディサイズは全長4615×全幅1775×全高1575mmに拡大。
さらに、ボディサイズ拡大や7人乗車などによる重量増に対応し、パワーユニットは先代プリウスと同じ1.8Lエンジン+2モーターのハイブリッドながらファイナルギアを10数%加速重視とし、ホイールのPCD(ナットが付く部分の円周の大きさ)もプリウスの100から114.3に拡大するなど、先代プリウスに対し手を加えられた部分は多い。
また、ガラスよりも約40%軽量な樹脂製パノラマルーフ(開閉するのはシェードのみ)の設定も特徴だった。
ちなみにプリウスαの駆動用バッテリーは、5人乗りステーションワゴンは先代プリウスと共通のニッケル水素バッテリーを、後輪の真上あたりとなるラゲッジスペース前方下部に、7人乗り3列シートは3列目シートを置くために、コンパクトかつ充放電性能に優れるリチウムイオンバッテリーをセンターコンソール下部に配置している。そのため、5人乗りステーションワゴンと7人乗り3列シートでセンターコンソールの形状が若干違う。
ただ、本来なら駆動用バッテリーの性能が違うので燃費も異なりそうなものだが、駆動用バッテリーの電力を同じ範囲で使っているため、燃費は変わらない。
登場時の価格は5人乗りステーションワゴンが235万円から、7人乗り3列シートが300万円からと、特に5人乗りステーションワゴンのお買い得感が目立った。
プリウスαは登場時の3000台の月間販売目標台数に対し、発売から約1カ月でその17倍以上となる約5万2000台という好調な受注を集めた(5人乗りステーションワゴンと7人乗り3列シートの内訳は前者が約70%だった)。
プリウスαは2013年からダイハツにも「メビウス」の車名でOEM供給され、2014年11月に内外装の変更を中心としたマイナーチェンジ、同年12月にサスペンションやボディの強化などを施したスポーティな「G’s」の追加、2017年11月に一部改良で自動ブレーキ&運転支援システムのトヨタセーフティセンスへの進化とG’sの「GRスポーツ」への発展といった改良が行われた。
現在プリウスαのグレード体系はベーシックな「S”Lセレクション“(5人乗りステーションワゴンのみ)」、5人乗りステーションワゴンと7人乗り3列シートそれぞれに標準の「S」と上級の「G」。SとGそれぞれに17インチアルミホイールなどが付く「ツーリングセレクション」。S”ツーリングセレクション“をベースにした「GRスポーツ」、Sに革巻きステアリングやファブリックと合皮のコンビ表皮のシートなどが加わる「SチューンブラックII」となっている。
プリウスαは7人乗り3列シートという点よりは、ハイブリッドで燃費のいい5人乗りステーションワゴンということが評価され、日本では現在までに約50万台が販売された。
海外においても日本でもそれなりにあったタクシーとしての需要も含め欧米、韓国、オセアニアでも販売され、新車への買い替えの大きな母体となる保有台数も相当あると思われるのだが、残念ながら生産終了となる。
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