アルファードが売れる訳 電動化加速でもなぜガソリン車が人気急拡大?

HVは4WDだけ! ガソリン車は2種のエンジンを用意

 状況を理解するために、まずアルファードで展開している3つのパワートレインについておさらいしておこう。

 ハイブリッドは、最高出力152psの直4エンジンに前後あわせて211psのモーターを搭載。ガソリンはレギュラーで駆動方式は4WDだけの設定になっている。

 燃費がいいのに加えて、停止からの発進もエンジンを掛けずにモーターでおこなうから静かで微振動もなく快適。価格は454万7000円からだ。

アルファードには「2.5L 直4ガソリンエンジン」、「3.5L V6ガソリンエンジン」のガソリン車が用意されている。直4エンジンのほうがコストパフォーマンスが最も高い
アルファードには「2.5L 直4ガソリンエンジン」、「3.5L V6ガソリンエンジン」のガソリン車が用意されている。直4エンジンのほうがコストパフォーマンスが最も高い

 V6ガソリン車は、301psというガソリンエンジンのパフォーマンスが魅力。マルチシリンダーならではの軽快な音と滑らかなフィーリングも楽しめる。

 また直4エンジンに比べると振動も少ないので、ハイブリッドには届かないが乗員にとっても快適だ。ガソリンはハイオクで、駆動方式はFFと4WDが選択できる。

 燃費はWLTCモードで9.9km/Lからとすぐれないが、パワートレインのエモーショナル感を求めるなら、V6ガソリンがイチオシだ。価格は518万5000円からと直4に比べて高い。

 直4エンジンは182psでガソリンはレギュラー。駆動方式はFFと4WDが選べ、価格は352万円からだ。最もコストパフォーマンスが高い選択肢である。

なぜアルファードはガソリン車が圧倒的に売れるのか

エンジンごとの販売比率を比較すると、直4モデル 6万9000台(V6モデルはわずか4500台)と売れている。リーズナブルなパワートレーンを選択した顧客が多いとみられる
エンジンごとの販売比率を比較すると、直4モデル 6万9000台(V6モデルはわずか4500台)と売れている。リーズナブルなパワートレーンを選択した顧客が多いとみられる

 さて、本題のガソリン車が売れている理由を探ってみよう。そのヒントはエンジンごとの販売比率にある。2020年の販売実績をみると、直4モデルは6万9000台。対してV6モデルはわずか4500台。圧倒的に直4を選ぶ人が多いのである。

 つまりどういうことか。価格帯が安いパワートレインが売れていることにほかならない。具体的な価格差を見てみよう。中間グレードの「G」(V6モデルは「GF」)同士で比べてみると、直4モデルは453万9000円から。V6モデルは518万5000円から。そしてハイブリッドは534万4000円となる。

 同等のグレード同士でみると、直4モデルに対してV6モデルは約65万円高く、ハイブリッドはさらに15万円以上(直4ガソリンに対して約80万円)高い。その価格差が直4ガソリンモデルの人気に結びついていると判断するのが、どう考えても自然だ。

 ハイブリッドはFFの設定がないので、「4WDはいらない」と考えた人も一定数は存在するだろう。しかし多くの人は、なによりもリーズナブルなパワートレインを選んだに違いない。

 その結果、「ハイブリッドではなくガソリン車が売れている」という時代の流れとは異なる状況が生まれているのである。

トヨタ高級車であるクラウンは、アルファードと真逆でハイブリット車のほうが、ガソリン車よりも断然売れているという
トヨタ高級車であるクラウンは、アルファードと真逆でハイブリット車のほうが、ガソリン車よりも断然売れているという

 もちろん、クラウンでもハイブリッドがガソリン車より高いのだが、それにもかかわらずハイブリッドのほうが断然多く売れている。アルファードとの違いは、懐事情に余裕をもってそのクルマを選んでいるかどうかの違いだろう。

 アルファードも充分に高額車であり、購入にはそれなりの負担が必要だが、クラウンを選ぶユーザーは車両代に対して懐事情にさらに余裕を持つ人が多いということである。

 余談だが、その違いはヤリス(ハッチバック)とヤリスクロスにも生じている。ヤリスのハイブリッド比率は約46%だが、ヤリスクロスでは約61%と高まる。これも両車の購入層の違いゆえの結果に他ならない。

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