爆売れアルファード なぜいま? どう買う?? 販売急増の理由と買い方

爆売れアルファード なぜいま? どう買う?? 販売急増の理由と買い方

 新車を購入する時には必要な情報って何だろうか? そのクルマの基本情報はもちろん、どのグレードがいいのか、オプションは、値引きは……と知りたい情報はたくさんあるけれど、なかなか情報が出てこない……、と困っている人も多いのではないだろうか。

 そこで、今回は押しも押されぬ人気車、アルファードを取り上げ、新車購入の際に役に立つ、ベストな購入法を解説していきたいと思う。

 アルファードは、2020年11月には1万109台も売れて、この月の登録車の車名別販売台数ランキングで3位に入った高級ミニバンだ。

 なぜアルファードは高額車にもかかわらず、爆売れしているのだろうか? 爆売れしている理由と、今アルファードを新車購入しようとしている人に向けた最適解な買い方を、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。

 ここで紹介するメニューは以下の通り。ぜひ最後まで読んでからディーラーへ行ってほしい。

・どんなクルマ?
・最近の販売台数と人気度
・主な機能の評価は?
・ユーザーニーズ別の推奨グレード
・選ぶのを避けたい要注意のグレード
・売れ筋グレードのベスト3
・これだけは付けたい推奨オプション
・上手な買い方と値引き方法
・納期など購入する時の要注意点
・価格を含めた買い得度と総合評価


文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 トヨタ

【画像ギャラリー】オラオラ顔で新車販売3位に躍進!? アルファードの詳細写真をチェック!


アルファードってどんなクルマ?

圧倒的な人気を誇るアルファード。このオラオラ顔によって販売台数を大幅に伸ばしたのか?
圧倒的な人気を誇るアルファード。このオラオラ顔によって販売台数を大幅に伸ばしたのか?
アルファードは標準ボディとエアロボディの2タイプを設定。こちらは標準ボディで、グリルを囲むメッキモールが強調されている
アルファードは標準ボディとエアロボディの2タイプを設定。こちらは標準ボディで、グリルを囲むメッキモールが強調されている

 アルファードは2015年1月に登場したLサイズミニバンの人気車種。ボディサイズを販売の主力グレードで見ると、全長は4950mm、全幅は1850mmと大柄で、全高は1950mmに達する。

 堂々とした存在感の伴う外観は、アルファードが人気を高めた大切なセールスポイントにもなっている。

 2018年1月のマイナーチェンジでは、フロントフェイスやリアのバックドアガーニッシュ、コンビネーションランプのデザインが変更され、内装ではメーター加飾、シート表皮などが変更された。

 2つ目の特徴は、Lサイズミニバンならではの広い室内だ。1/2列目は頭上と足元に十分な空間があり、リラックスして快適に移動できる。

 3列目は畳んで広い荷室に変更することを重視したから、床と座面の間隔が不足して足を前方へ投げ出す座り方になりやすいが、頭上と足元はグランエースを除いた国産ミニバンでは最も広い。多人数が快適に乗車できることも、アルファードの大切な特徴になっている。

 3つ目は豪華な車内の造り込みだ。メッキパーツも多く使われ、各部を上質に仕上げた。さらに着座位置が高めで周囲の見晴らしが優れていることも、好調に売れる理由となっている。

 4つ目にはワイドなグレード構成も挙げられる。エンジンは直列4気筒2.5L、2.5Lハイブリッド、V型6気筒3.5Lと豊富に選べる。

 ボディタイプも、標準ボディとエアロパーツを装着する2種類を用意した。なおアルファードには、姉妹車としてヴェルファイアも用意されている。

最近の販売台数と人気度

 もともとアルファードと姉妹車のヴェルファイアは、高価格のLサイズミニバンでありながら好調に売れていた。

 特に2020年9月から11月は、アルファードの登録台数が1万台を上回り、コンパクトカーのフィットなどよりも多く売れた。国内販売ランキングでも上位に喰い込む。

 好調に売れる理由は大きく分けて2つある。まずは先の項目で触れたアルファードの商品力だ。外観が立派で内装も豪華、車内は広く、エンジンの選択肢も多い。これらの特徴が売れ行きを押し上げた。

 2つ目の理由は、トヨタの全店が全車を扱う販売体制に移行したことだ。現行型の登場時点では、ヴェルファイアのほうが多く売れていたが、マイナーチェンジでアルファードがフロントマスクをさらに派手な形状に変更すると、両姉妹車の販売順位は逆転した。

 2020年5月以降は、トヨタの全店で全車を買えるようになったので、従来はアルファード&ヴェルファイアを扱わなかったトヨタ店やトヨタカローラ店でもアルファードの売れ行きが伸びた。

 さらにヴェルファイアを扱っていたネッツトヨタ店でも、アルファードに乗り替えるユーザーが生じて、両姉妹車の販売格差が一層拡大している。

 直近の2020年11月の登録台数を見ると、ヴェルファイアはアルファードの12%しか売れていない


■2020年1~11月におけるアルファードの新車販売台数
※順位は新車販売の総合順位、カッコ内は対前年同月比
・1月/12位、5147台(87.1%)。ヴェルファイア:30位、2001台(55.3%)
・2月/14位、5241台(92.7%)。ヴェルファイア:39位、1717台(47.2%)
・3月/14位、7885台(103.8%)。ヴェルファイア:35位、2719台(58.8%)
・4月/6位、5739台(98.6%)。ヴェルファイア:24位、1690台(54.6%)
・5月/5位、5750台(110.6%)。ヴェルファイア:23位、1378台(48.6%)
・6月/5位、6835台(134.3%)。ヴェルファイア:36位、1192台(40.4%)
・7月/6位、8448台(135.6%)。ヴェルファイア:38位、1289台(38.4%)
・8月/5位、7103台(153.5%)。ヴェルファイア:36位、1226台(59.4%)
・9月/4位、1万436台(160.0%)。ヴェルファイア:40位、1273台(36.6%)
・10月/5位、1万93台(196.7%)。ヴェルファイア:38位、1261台(56.8%)
・11月/3位、1万109台(175.9%)。ヴェルファイア:41位、1241台(50.1%)

主な機能の評価は?

 ここからは各項目、機能別に分けて、評価していきたい。ぞれぞれ10点満点で採点チェックした。

質感の高いアルファードのコクピット。シフトレバーの位置は乗用車的で使いやすい
質感の高いアルファードのコクピット。シフトレバーの位置は乗用車的で使いやすい


■内装の質感/インパネ周辺の視認性と操作性
・採点…7点
 インパネの周辺は、自発光式のメーターからメッキパーツまで、各部を鮮やかに造り込んだ。クラウンのミニバン仕様という雰囲気だ。エアコンのスイッチなどは比較的高い位置に装着されて左手が届きやすい。メーターも大径で見やすく、視認性や操作性も良好だ。

アルファードの7人乗りは全体の86%を占めるという
アルファードの7人乗りは全体の86%を占めるという
アルファード7人乗りのスーパーリラックスキャプテンシート
アルファード7人乗りのスーパーリラックスキャプテンシート
アルファード8人乗りのシートアレンジ(5名+ラゲッジ)。2列目は3人掛けのベンチシート
アルファード8人乗りのシートアレンジ(5名+ラゲッジ)。2列目は3人掛けのベンチシート


■前席の居住性
・採点…6点
 座り心地は柔軟な印象で、車種のイメージに合わせた。背中から大腿部への支え方は平均的で、特に長距離移動が快適とはいえないが、疲れやすい印象も受けない。


■後席の居住性
・採点…9点
 2列目シートは、グレードに応じて4種類を用意する。ベンチタイプ、セパレート式のリラックスキャプテンシート、豪華なエグゼクティブパワーシート、さらに上等な電動機能や格納式テーブルを追加したエグゼクティブラウンジシートだ。

 上級に位置するエグゼクティブ系の2列目は、見栄えは豪華だが、座り心地はリラックスキャプテンシートと比べて大差はない。電動機能を内蔵させたことで、各部の柔軟性が妨げられた面もある。それでもほかのミニバンに比べると座り心地は快適で、頭上と足元の空間も広い。

 3列目は床と座面の間隔が不足して、足を前方へ投げ出す座り方になる。背もたれと座面も薄く、2列目に比べて座り心地は大幅に下がる。それでもほかのミニバンに比べると広くて快適だ。

広くて豪華なインテリアがアルファードの人気の要因でもある。写真はマイナーチェンジで追加されたエグゼクティブラウンジで、アルファードのトップグレード
広くて豪華なインテリアがアルファードの人気の要因でもある。写真はマイナーチェンジで追加されたエグゼクティブラウンジで、アルファードのトップグレード
薄型のサードシートにより、スペースアップ時の荷室幅を確保。また、ラゲージ床下に大容量の床下収納を設定することで、観葉植物など高さのある荷物の収納も可能
薄型のサードシートにより、スペースアップ時の荷室幅を確保。また、ラゲージ床下に大容量の床下収納を設定することで、観葉植物など高さのある荷物の収納も可能


■荷室の使い勝手
・採点…7点
 アルファードは天井の高いLサイズミニバンだから、3列目を左右に跳ね上げると、大容量の荷室に変更できる。

 1/2列目に4名で乗車して、自転車のような大きな荷物を積むことも可能だ。3列目にもスライド機能が装着され、足元空間を詰めると、多人数で乗車して荷室容量を拡大できる。


■視界と運転のしやすさ
・採点…2点
 ボディが大柄で、なおかつホイールベースも長いため、最小回転半径は5.6~5.8m。着座位置が高いために前方の様子は分かりやすいが、ドライバーにとってボディの左側面や真後ろの死角は大きい。狭い裏道や駐車場で気を使う。

 死角を補うパノラミックビューモニターなどもオプション装着できるが(上級グレードは標準装着)、見えない部分も生じるから注意が必要だ。

アルファードの直列4気筒、2.5L、NAガソリンの走りは? ハイブリッドと違い物足りない?
アルファードの直列4気筒、2.5L、NAガソリンの走りは? ハイブリッドと違い物足りない?


■動力性能
・採点…6点
 直列4気筒2.5L、NAエンジンはパワフルとはいえないが、実用回転域の駆動力が高く運転しやすい。

 ハイブリッドはモーター駆動の併用で、巡航中は静かで滑らかに走る。しかも後輪をモーターで駆動する4WDも備わり、WLTCモード燃費は14.8km/Lだ。

 2.5L、NAエンジンは2WD、4WDともに11km/L前後だから、ハイブリッドなら燃料代を約26%節約できる。

 またV型6気筒3.5Lも用意され、最高出力は301ps/6600rpm、最大トルクは36.8kgm/4600~4700rpmと強力だ。3.5Lの2GR-FKS型エンジンは、レクサスのISやRCなどにも搭載され、高回転域の滑らかな吹き上がりが特徴とされる。


■走行安定性
・採点…4点
 アルファードは車両重量が1900~2300kgと重く、全高も1900mmを超えるために重心が高い。走行安定性を確保するうえでは不利なボディになる。しかも上級ミニバンとあって、足回りは乗り心地を重視して設定されている。

 そこで操舵に対する反応を鈍めに抑えた。車両の動きを穏やかにして、後輪の接地性を含めて安定性を維持するわけだ。そのために峠道を走ると、カーブを曲がりにくく感じることもある。また背が高いので、高速道路の横風にもあおられやすい。


■乗り心地
・採点…8点
 Lサイズの上級ミニバンとあって、サスペンションが柔軟に伸縮する。高速道路のカーブでは左右に振られやすいが、街中や高速道路の直線では、路上のデコボコを柔軟に受け止めて乗り心地も快適だ。


■安全装備の充実度
・採点…7点
 衝突被害軽減ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車も検知可能だ。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールは、全車速追従型としている。安全装備と運転支援機能を充実させた。


■売れ筋グレードのベスト3
・No.1:2.5S・Cパッケージ
・No.2:2.5Sタイプゴールド
・No.3:2.5S

2.5S、2WD、7人乗り(390万8000円)
2.5S、2WD、7人乗り(390万8000円)


■ユーザーニーズ別の推奨グレード
★価格を抑えたNAエンジンなら:2.5S(390万8000円/7人乗り)
 アルファードのハイブリッドは、後輪をモーターで駆動する4WDを搭載することもあって価格が高い。

 そのために売れ筋は2.5L、NAエンジン車になる。価格を徹底的に抑えるなら、2列目がベンチシートになるXを352万円(8人り)で用意しているが、上級ミニバンとしては味気ない。

 そこでSの7人乗りを推奨する。外観はエアロパーツが装着されてカッコ良く、エアコンのナノイー機能なども装着される。価格が400万円以下に収まることも魅力だ。

ハイブリッドS、7人乗り、479万9000円
ハイブリッドS、7人乗り、479万9000円


★低燃費のハイブリッドなら:S(479万9000円/7人乗り)
 ハイブリッドも、2.5L、NAエンジンと同様にSが推奨グレードだ。エアロパーツを装着しながら、価格を割安に抑えた。

 NAエンジンのSに比べて価格は約89万円高いが、駆動方式が4WDになるので、実質的な差額は63万円に縮まる。

 また2.5L、NAエンジンを搭載するSでは、購入時に納める環境性能割と自動車重量税の合計額が2WDの場合で約11万円になるが、ハイブリッドは非課税だ。駆動方式や税額の違いを考慮すると、ハイブリッドの割高感もある程度は解消される。

 またハイブリッドは燃料代が安いだけでなく、モーター駆動も併用するから、走行中のノイズが抑えられてエンジンの回転感覚も滑らかだ。こういった付加価値も魅力になる。

2.5S C パッケージ、2WD、7人乗り、466万4000円
2.5S C パッケージ、2WD、7人乗り、466万4000円


★豪華さと充実装備を重視するなら:2.5S・Cパッケージ(466万4000円/7人乗り)
 エグゼクティブラウンジは、同名のシートも装着されて豪華だが、価格も際立って高い。3.5Lエンジン搭載車が726万9000円で、ハイブリッドも759万9000円に達する。

 そこで価格の割安感も考慮すると、豪華指向でも、最多販売グレードになる2.5L、NAエンジンを搭載するS・Cパッケージがベストだ。エアロパーツを備えた外観、エグゼクティブパワーシート、運転席の電動調節機能などを標準装着して、価格は466万4000円になる。

 同様の内容を備えたハイブリッドは、SR・Cパッケージで、この価格は565万4000円だ。このあたりが実質的に日本車の上限価格帯といえるだろう。

次ページは : 選ぶのを避けたい要注意のグレードについて

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