「無力と向き合い、涙を流す」。自衛隊員が災害救助現場で行う、心の澱を吐き出す方法

■心の病には治療が必要

 知らず知らずのうちに蓄積してしまったストレスは厄介です。結果、顔色が悪くなったり、眠れなくなったり、さらには、周りに対して文句を言うようになったり、顔つきまで悪くなったりもします。こうした兆候が出てきたら、自力での改善は難しく、医師の力が必要となってしまいます。

 初期の段階で受診をすればうつ症状は完全に治りますが、周囲が励ますつもりで「大丈夫、頑張れ」と無理をさせてしまい、受診のタイミングを逸して、かえって悪化させてしまうことがあります。

 健康な人は、精神的に落ち込んだ人に対して、「風邪をひいた程度である」という認識で接してしまうため、さらに悪化する方向に追い込んでしまうのです。

 精神的に落ち込んだ人は、骨折した人の対応と同じで、医師の治療が必要です。もし、なりそうかなと思ったら、早期に受診をして下さい。

 では、オブラートを厚くさせないようにするにはどのようにしたらいいのでしょうか。

 毎日オブラートを溶かしてなくしてしまうのが一番の対処法です。毎日、その日分のオブラートを溶かすなら、難しくはありません。簡単な方法は、運動でスッキリすることでしょう。運動以外には、美味しいものを食べたり、お酒を飲んだり、カラオケに行ったり、ショッピングをしたり、趣味を楽しんだりして発散させてしまう方法があります。オブラート1枚分程度ですから、ちょっとした気分転換で溶けてしまいます。

 ストレスは溜め込まないということが重要なのです。


二見 龍(ふたみ りゅう)
1957(昭和32)年東京生まれ。防衛大学校卒業。陸上自衛隊第8師団司令部3部長、第40普通科連隊長、中央即応集団司令部幕僚長、東部方面混成団長などを歴任し陸将補で退官。防災士として自治体、一般企業で危機管理を行う。著書に『自衛隊式セルフコントロール』、『自衛隊最強の部隊へ』シリーズ、『弾丸が変える現代の戦い方』、『自衛隊は市街戦を戦えるか』、『特殊部隊 vs. 精鋭部隊』などがある。近著の『自衛隊式セルフコントロール』はすぐに実践できる自衛隊のノウハウが満載

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