日本法人を統合
いっぽう、日本におけるZFグループの3法人、「ゼット・エフ・ジャパン株式会社」、「ゼット・エフ・オートモーティブ・ジャパン株式会社」、及び「ゼット・エフ・アフターマーケット・ジャパン株式会社」は、2022年1月1日をもって合併した。
合併後の新会社名は「ゼット・エフ・ジャパン株式会社」(以下、ZFジャパン)となる(ゼット・エフ・オートモーティブ・ジャパンを存続会社とし、旧ゼット・エフ・ジャパンなど2社を吸収合併)。
今回の合併についてZFジャパン代表取締役社長、多田直純氏は次のように話している。
「新生ZFジャパンは、自動車産業の大きな変化に対応可能な、シナジー効果と高い生産性を生み出す企業に生まれ変わります。さらに、カーボンニュートラル実現に向けた、新しいモビリティ分野のビジネスにも積極的に取り組み、様々な企業の方々と検討を重ねていきます」。
自動車業界は、電動化に加え産業の垂直統合から水平分業への移行など、「百年に一度」といわれる大きな変革期にある。
部品業界においてもコンポーネント単体だけでなく、車両システム全体を視野に入れた共同プロジェクトの必要性が増している。
こうした環境変化の中、電動化および車両システムの高度化だけでなく、関連して創成される新規ビジネスにも対応し、競争力を強化するとともに企業価値をさらに高めるため、合併によって経営資源を集約した。
CVS事業部と同日付で発足した新生ZFジャパンは、ZFグループの「Next Generation Mobility(次世代のモビリティ)」戦略の理念のもと、革新的な技術を生み出し、クリーンで安全なモビリティを全ての人に提供するための取り組みを進める。
存在感が増し続けるZFという会社
ZFは1915年にツェッペリン飛行船会社のあるドイツ南端ボーデン湖畔のフリードリヒスハーフェンに飛行船用のギアボックスメーカーとして創業した。
社名はドイツ語で「歯車工場」を意味する「ツァーンラート・ファブリーク」に由来する。
間もなく自社製トランスミッションを開発して自動車業界に参入すると、高い技術力を活かして各種ギアボックスを主軸とする駆動系、シャシー系コンポーネントメーカーとして発展した。
2014年には米国のTRWオートモーティブ社を買収して世界最大級の部品メーカーグループに成長。先述の通り2020年にワブコを買収したことで商用車部品では独走状態になった。
車体のあらゆる部分にノウハウを持つことで、より包括的でインテリジェントなシステムを構築できると優位性をアピールしている。
ドイツで隔年開催されるIAA商用車ショーでは、シャシーメーカー以上に熱の入ったイベント・展示を行なってきた。
2014年には、ダブルストレーラの遠隔操作のデモンストレーションを行なったほか(この年はグーグルが自動運転カープロジェクトを発表し、テスラがモデルSにオートパイロットを搭載した年だ)、2016年はセミトレーラのプラットフォーム着けの自動化、2018年は脱着ボディ車の無人運転・無人脱着を披露。
IAA2020はコロナ禍で中止されたが、独自のオンラインイベントを開催し、無人運転のトラクタで目的のトレーラを探し出し、自動で連結を行なう無人運転・自動カップリングのデモを公開している。
また、2021年に世界最大の自動車用バッテリーメーカーCATL(中国)とアフターマーケットサービス事業での戦略的パートナーシップを締結するなど、カーボンニュートラル実現に向けた準備も進めている。
同年、自動運転ソフトウェアのエンボテック(スイス)に出資し、商用車の自動運転で戦略提携を発表。港湾、空港、物流拠点など限定領域に於ける “Transportation-as-a-Service” (TaaS) を開発するとした。
商用車がどのような未来を目指すにしろ、ZFの存在感が増して行くのは間違いなさそうだ。
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