レッドブルRB18は順調にアップデート。トップエンドを争うポテンシャル
レッドブルの一貫したアップデートは好調で、エアロとサスペンションによるメカニカルとのコラボがかなり一体化してきており、最終日の走りは圧巻ですらあった。メルセデスの過激なアプローチと違い、基本を崩さず、メカニカルな車体制御でエアロの効率を高める狙いはこれまで通りのコンセプトで、これを新規則上で磨き上げてきた。
今シーズンもレッドブルはトップエンドを争う事は間違いなさそうだ。
フェラーリー好調。昨年最下位のハースも速さを見せていた
さらに面白いのがフェラーリだ。F1-75はバルセロナテストから一貫して好調さを誇示、久々にフェラーリ復活の機運が高まってきた。F1-75は他の多くのチームとはエアロコンセプトで一戦を画す。
メルセデスとウィリアムズを頂点に、ボディワークの極端なコンパクト化でバックエンドエアロ(後方空気流)の効率向上を徹底した型。そしてレッドブルやアルファタウリ、アルピーヌなどの中間的ローバックダウンのサイドポッドと後方の絞り込みで、ポッド側面下部のアンダーカットを利用した従来型の継承組とにエアロコンセプトをグループ分けできるのだが、フェラーリはさらに後方に延びる大型のサイドポッドを採用。そのポッド上面をある種のデッキ化して上面の空気流を重視してリアウィングへと導くスタイルを選んでいる。これはアストンマーチン、アルファロメオ、ハースなども似た方向を向いている。
2022年のクルマはこの3つのグループに分けられるのだが、6日間のテストではどれが正解なのかは全く見当もつかない。事実フェラーリも速いのだから。
加えて中堅組のアルファタウリやアストンマーチンが安定して速く、トラブルはあったものの、マクラーレンもウィリアムズもそしてハースもポテンシャルの高さを垣間見せていた。
今シーズンは下克上の予感。F1戦国時代の幕開けか?
また今シーズンから厳格化されているバジェットキャップは、資金を湯水の様に使ってきたビッグチームを苦しめるに違いない。人件費の削減は優秀なスタッフの放出にも繋がり、各チームに分散し始めている。つまり小型チームの人材が充実してきているのだ。これもチーム格差の縮小に役立ってくる。
そう考えると今シーズン、勢力図に大きな下克上があったとしても不思議はない。群雄割拠たるF1グランプリ、戦国時代の幕開け……を大いに期待したいところだ。
【画像ギャラリー】下剋上が期待されるハース、まだマシンに安定性がないウィリアムズ、成長を見せている角田裕毅選手など(4枚)画像ギャラリー津川哲夫
1949年生まれ、東京都出身。1976年に日本初開催となった富士スピードウェイでのF1を観戦。そして、F1メカニックを志し、単身渡英。
1978年にはサーティスのメカニックとなり、以後数々のチームを渡り歩いた。ベネトン在籍時代の1990年をもってF1メカニックを引退。日本人F1メカニックのパイオニアとして道を切り開いた。
F1メカニック引退後は、F1ジャーナリストに転身。各種メディアを通じてF1の魅力を発信している。ブログ「哲じいの車輪くらぶ」、 YouTubeチャンネル「津川哲夫のF1グランプリボーイズ」などがある。
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