「オープンな充電網」は欧州域外にも波及するのか?
ちなみに、この発表に先立ってスカニア(トレイトン・グループ)はEV用の充電システムを開発中であることを明らかにした。1.2メガワットでの充電に成功しており、最大で3.75メガワット(3000 A * 1.25 kV)のシステムをISO規格とすることを目指している。
2024年の発売を予定する新システムは、自社のトラック用に加えて船舶用での活用を視野に入れる。
いっぽう、グループの異なる3陣営の自動車メーカーにより開始する充電ネットワークは、完全に「オープン」であり自動車のブランドやメーカーに関わらず、欧州の大型商用車すべてが利用できるということを強調した。
したがって、充電網はいわゆるパブリックな(誰でも使える)ネットワークを目指している。
BEV大型トラック・バスなど、電動車両の台数は今後数年で大きく伸びると見られる。メーカーの枠を超えて、業界を横断する形で充電ステーションの設計・設置・運営を行なうことで、運送会社とドライバーの求めに応じる。
なお、ボルボは日本市場に進出しているほか、ダイムラーは傘下の三菱ふそう、トレイトンはスカニアを日本で展開している。今回の合弁はあくまで欧州域内の充電ネットワークの整備ということだが、世界でも大手の商用車メーカーによる提携だけに、日本や世界への影響にも注目だ。
各社のコメント
各社のコメントは次の通りだ。
「これは待ちに待った大きな一歩です。バッテリー電気式の長距離トラック・バスが成功するためには充電インフラの整備が必要です。1社では不可能なことも3社の共同事業としてなら可能です。
この強力なパートナーシップは、2050年までに輸送をカーボンニュートラルにするという欧州の目標に向けた重要なマイルストーンです」。
(ボルボ・グループCEOのマーティン・ルントシュテット氏)
「パートナーと共に新たな合弁企業を開始できたことを感慨深く思っています。いま必要とされている充電ネットワークでイニシアチブをとることは非常に重要であり、他の産業にもこの取組に加わるように呼びかけています。
長距離輸送の電動化は私たちのお客様にとって有望なソリューションであり、充電施設の数をできるだけ早く増やさなければなりません」。
(ダイムラー・トラックCEOのマーティン・ダウム氏)
「気候変動に対する最適なソリューションを見つけることは、この業界にとっても、トレイトン・グループにとっても最優先の課題です。
お客様と電気トラックの話をするたびに必ず聞かれるのが、充電設備についてです。できる限り早くBEV大型車をサポートするために私たちはチームを組みました。欧州の大型車用充電ネットワークは本日からスタートします。
合弁会社のCEOとなるアーニャ・ファン・ニールセンは充電ネットワークの設立に豊富な経験を持っています。アーニャと彼女のチームは持続可能な輸送の実現を確実にサポートしてくれるでしょう」。
(トレイトン・グループCEOのクリスティアン・レビン氏)