2018年10月の新車販売台数で、トヨタのコンパクトミニバン、シエンタが、なんとアクアに次いで2位を獲得した。しかも、僅差ながらトップ常連の日産ノートを抜いたのは凄い!
この大躍進を遂げた理由は、2018年9月11日にマイナーチェンジが行われたからだ。
はたして劇的進化だったのか? なぜこれほど販売台数を伸ばしたのか? シエンタの強さの理由をモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/トヨタ自動車
■2018年9月11日に行われたマイナーチェンジ
日本自動車販売協会連合会による2018年10月の登録台数を見ると、シエンタが小型/普通車の2位に入った。1位はアクア(1万405台)、2位はシエンタ(9840台)、3位がノート(9740台)という順番だ。
シエンタの2018年10月の登録台数は9840台で対前年比は147%に達する。10月以前の小型/普通車の登録台数ランキングでは、7月6864台で12位、8月5538台で12位、9月は7314台で8位だったから、10月になって一気に浮上したということになる。
2018年1〜6月上半期を見ても、1位ノート(7万3380台)、2位アクア(6万6144台)、3位プリウス(6万4019台)、4位セレナ(5万6095台)、5位フィット(4万7962台)、6位ヴォクシー(4万7702台)に次いで、シエンタは7位(4万5417台)。ミニバンとしては3位だ。
高人気を受けて納期も伸びている。2018年11月19日に販売店で納期を尋ねると「本日の受注でノーマルエンジン車の納車は12月下旬(納期は1か月少々)、ハイブリッドは2019年2月下旬(3カ月少々)」だという。ハイブリッドの納期が長引いている。受注台数が推定で3万台という話も聞かれる。
人気が急上昇した一番の理由は、2018年9月11日にマイナーチェンジで、これまでなかった2列5人乗りをラインアップに加えたからだ。
従来のバリエーションは3列シートの6人乗りと7人乗りだったが、新たに2列シートの5人乗りを「ファンベース」(ファンベースXとファンベースG)というグレード名で加えた。
■5人乗りは安いのか、高いのか?
では新たな加わった2列シート5人乗りのファンベースは、従来からある3列シート7人乗り、3列シート6人乗りと比べてお得なのか、比較してみた。
■2列5人乗りのファンベースの価格
●ファンベースG(HV、5人乗り)=234万360円
●ファンベースG(ガソリン、5人乗り)=198万720円
●ファンベースX(HV、5人乗り)=218万7000円
●ファンベースX(ガソリン、5人乗り)=177万6600円
まず、ファンベース5人乗りGと、3列シートのGグレードと比較してみる。3列シートのファンベースGグレードの価格は以下の通り。
●G(HV、7人乗り)=238万320円
●G(ガソリン、7人乗り)=202万680円
●G(ガソリン、6人乗り)=216万2160円
Gグレード同士で比較してみると7人乗りに対して、HV、ガソリン車ともに5人乗りは3万9960円安い。ガソリン車の6人乗りに対して、5人乗りガソリン車は18万1440円安い。
続いて3列シート、Xグレードの価格は以下の通り。
●X(HV、7人乗り)=222万6960円
●X(ガソリン、7人乗り)=181万6560円
●X(ガソリン、6人乗り)=195万8040円
Xグレード同士の比較でもGグレードと同様、5人乗りは7人乗りに対して3万9960円安く、6人乗りに対して18万1440円安い。6人乗りは独立したキャプテンシートではないものの、シート中央のアンダートレイやアームレストが付いており、中央席のヘッドレストがない分、後方視界がいい。
7人乗り仕様に対して5人乗り仕様は、ハイデッキ、ローデッキに切り替えられるラゲッジボードや大型ラゲッジアンダートレイ、ユーティリティホールが装備されるものの、正直3万9960円しか安くなっていないというのは拍子抜けしてしまった。
コメント
コメントの使い方