輸入車のど真ん中、BMW 3シリーズの新型がいよいよ導入間近だ!
スポーツセダンの代名詞であり、日本を含む世界中の自動車メーカーが仮想ライバルとしているのがBMWだ。「駆け抜ける歓び」をキャッチコピーとしていることから分かるように、運転する愉しさと気持ちいい走りにこだわり続けている。黎明期には精緻な航空機用エンジンが評判を呼んだ。戦後は高性能エンジンを武器に、スポーツ性の高い名作を数多く生み出した。
なかでも日本で古くから人気を誇るのが3シリーズ。現在、日本でベンツに次ぐ販売台数を誇るBMWの最量販モデルとあって、3シリーズは日本で最も人気の高い輸入車のひとつでもある。
7代目となる新型は欧州で2019年3月9日に発売、日本では初夏にも導入濃厚だが、その注目ポイントとともに、歴代3シリーズの好敵手となった国産車から、日本車と3シリーズの関係を改めて紐解く。
文:片岡英明
写真:編集部、BMW、NISSAN、TOYOTA
“輸入車ど真ん中” 新型BMW 3シリーズの特長は?
海外だけでなく日本でも高い人気を誇っているのが、日本のミドルクラス、欧州のDセグメントに属するスポーツセダン、3シリーズだ。
初代モデルが誕生したのは1975年である。それから代を重ね、2018年10月のパリモーターショーで7代目の3シリーズ(G20型)がベールを脱いだ。7年ぶりにモデルチェンジした3シリーズは誰が見ても3シリーズと分かる明快なデザインである。
空力性能も大きく向上した。ボディサイズはひと回り大きくなり、ホイールベースも延びている。その恩恵でキャビンは広くなり、後席の空間も増した。しかも4:2:4の3分割式だから使い勝手がいい。それでいて50kgもの軽量化を実現したから走りの実力は高まっているはずだ。
注目のパワーユニットは5機種を揃えた。主役は2Lの直列4気筒DOHC直噴ターボだ。ガソリンターボとディーゼルターボを2種類ずつ用意している。
今のところフラッグシップは3Lの直列6気筒の直噴ディーゼルターボを積む「330d」だ。が、2019年夏にはプラグインハイブリッド車と3Lのガソリンターボを搭載した「M340i Xドライブ」が加わる。運転支援システムも一段と進化した。
3シリーズの好敵手【1】/日産 R32型スカイライン
いつの時代も日本のエンジニアは、BMWのクルマ作りから刺激を受け、お手本にもしている。1980年代からは日本の交通事情にマッチした3シリーズを意識して新型車を開発してきた。
その代表がスカイラインだ。第2世代の3シリーズ(E30系)を仮想ライバルに開発されたのが、8代目のR32系スカイラインである。2000GT系は320iや323iを、GT-RはグループAカーによるレースでも大暴れしたイメージリーダーの「M3」を徹底的に研究し、送り出した。
M3はモータースポーツに挑み、勝つために1985年に登場する。BMWのモータースポーツを担当しているBMWモータースポーツ(後のBMW M)が開発を行い、最速のロードゴーイングカーに仕立てた。2ドアセダンをベースに、ブリスターフェンダーを採用し、ドア下にサイドステップを、トランクにはスポイラーを追加している。
エンジンは名機の誉れ高いM12型の流れをくむ2302ccの直列4気筒DOHC4バルブだ。スカイラインがR32型になった1989年には排気量を2494ccに拡大し、専用スポイラーを装着したM3スポーツエボリューションに進化させている。
一方、スカイラインは1981年秋にスカイライン 2000RSを投入。FJ20型エンジンはDOHC 4バルブの直列4気筒だ。どちらも高回転まで気持ちよく回るが、4気筒特有のバイブレーションが気になるのは共通するところである。4000回転から上のパンチ力はM3、瞬発力はRSが一歩上をいく。
(代替わりした)R32では、2000GT系だけでなくGT-Rもターボで武装しているから加速で差をつける。ターボが過給してからの伸びが良いし、追い越しも俊敏だ。また、滑かさにおいても4気筒のM3を相手にしない。
ハンドリングは、シャープなスポーティ感覚が強いのはスカイラインで、意のままの気持ちいい走りを満喫できる。特にFR系のスカイラインは操って楽しい。GT-Rは、これに絶大な安心感が加わる。
M3の走りは320iなどのカタログモデルの延長線上にある。ハンドリングは思いのほかマイルドな味わいだ。性格としてはスカイライン以上にグランドツーリングカーなのである。基本設計が新しいし、ポルシェを仮想ライバルとしているだけにR32の優位性は揺るがなかった。
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