西日本鉄道、スターフライヤー、ユーグレナの3社では、次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用した西鉄バスの実証運行を行う。バイオディーゼル自体がまだ次世代のような気もするが、すでにその次世代が出てきているのだろうか。詳細を見てみよう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■次世代バイオディーゼルとは?
「サステオ」は、食料との競合、森林破壊といった問題を起こさない持続可能性に優れたバイオマス原料を使用した燃料であり、既存のディーゼルエンジンに加工処理などを行わずにそのまま使用できることが特徴だ。
「サステオ」は、燃料を使用する際の燃焼段階では通常の軽油と同じようにCO2を排出するが、原料である植物や藻類が成⾧過程で光合成する際にCO2を吸収するため、燃料を使用した際に発生するCO2の排出量が実質的にはプラスマイナスゼロとなるカーボンニュートラルの実現に貢献すると期待されている。
バイオディーゼルとは本来は原油を原料とする軽油を燃料にして動くディーゼルエンジンを、生物由来の油脂を燃料として使用するものだ。生物由来であればいいので、天ぷら油等食用油の廃油でも、菜種油でも、魚の油でもいい。
それぞれに燃料としての性質には一長一短あるが、車両側の対策なしで100%バイオディーゼルというのは技術的に難しく、現状では軽油や灯油とのブレンドで使用されるのが一般的だ。
さて、3社では、政府が掲げる 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環として、西鉄が運行する路線バスの燃料にユーグレナ社の「サステオ」を試験的に導入し、スターフライヤーの就航する福岡空港へ乗り入れる路線において実証運行を開始する。
今回の実証運行では、「サステオ」使用による既存ディーゼルエンジンへの影響の有無や、燃料消費率およびCO2削減効果を検証する予定。実証期間は11月30日までの予定だ。
■燃料の詳細はこんな感じだ
サステオ(供給元はユーグレナ社)は、食料との競合や森林破壊といった環境問題を起こさない持続可能性に優れたバイオマス原料を使用した次世代バイオディーゼル燃料で、今回使用する燃料は、バイオ燃料20%と石油系軽油80%の混合品。
主原料は使用済み食用油(国内軽油規格に合致し、通常「軽油」と同等の性状を有する)だ。CO2の削減効果については、燃料燃焼時に排出する CO2を約20%削減(カーボンニュートラルの概念による)するものとされている。
運行路線は西鉄竹下自動車営業所/ららぽーと福岡~福岡空港国際線・国内線(運行距離:約 100km/日)で、竹下自動車営業所所属車両のうち1台を使用する予定。
食用油の廃油は事業者や家庭から出るものだが、使用する元の油も使用状況(回数による酸化等による劣化)も一定ではなく、バイオディーゼルとして使用するには相当の量を集めて品質を均一化する必要がある。
家庭から持ち寄った量程度ではバラツキがありすぎて商用燃料としては使えないので、大量に回収して再生させる必要があるのも難しいところだ。
【画像ギャラリー】廃油でバスを走らせる?(4枚)画像ギャラリー