便利だけど万能じゃない!? 急増する自動ハイビームの実力と落とし穴

便利だけど万能じゃない!? 急増する自動ハイビームの実力と落とし穴

 2019年3月15日にJAF(日本自動車連盟)が、最近装着車が増えているオートハイビームの効果・性能に関する検証結果を発表。検証結果の詳細は後述するが、簡単にまとめると「効果は確認できるが、現時点では万能ではない」というものだった。

 実はオートハイビームとひと口に言っても、メーカーにより機能が異なる場合もあり、便利な反面思わぬ落とし穴もある。

 特に自転車や歩行者の立場で「最近、車のライトが眩しくなったな……」と感じられた方は多いのではないだろうか。その原因がよくわかります。

文:永田恵一
写真:TOYOTA、HONDA、MAZDA、JAF

オートハイビームとは?

オートハイビームは、基本をハイビームとしながら対向車や前走車の有無によって自動でロービームへの切り替えをおこなう(写真はホンダ グレイスのイメージ)

 オートハイビームを装着する目的・機能は、「夜間により広く、長い距離を照らせるハイビームを積極的に使うため、ドライバーが行うロービームとハイビームの切り替えが減るよう、切り替えを自動で行うこと」だ。

 概要を見ると非常に便利な有難い装備であるが、実際どのような仕組みになっているのか? 大まかに言うと「カメラで前方の情報を収集し、状況に応じてロービームとハイビームを切り替える」というのがその仕組みだ。

 最近の車には衝突の回避・被害軽減に絶大な効果を持つ緊急自動ブレーキの装着が当たり前になりつつある。

 多くの緊急自動ブレーキには、車線逸脱の防止や歩行者検知のため単眼カメラか、スバルやダイハツなら2つのカメラから構成されるステレオカメラなど、何らかのカメラが装着されている。

 そのカメラに、オートハイビームの作動に必要な対向車や先行車、周囲の明るさを検知する機能も盛り込み、ロービームとハイビームを自動で切り替えている。

自動ブレーキ付きなら大半がオートハイビームも搭載

緊急自動ブレーキの普及と合わせて一般化したオートハイビーム。3月28日発売の新型デイズにも搭載されるなど軽自動車への採用も増えている

 このようにオートハイビームは、ほぼ緊急自動ブレーキの付帯機能、一部と考えられるので、ここ3~4年以内に登場した緊急自動ブレーキ付きの車ならほとんどに装着されていると思っていいだろう。

 ただし、輸入車の一部などには緊急自動ブレーキのセンサーにカメラを使っていない車もあり、そのためオートハイビームが付いていないケースや、逆にスバル WRX STIにオプション設定される「アドバンスドセーフティパッケージ」のように「緊急自動ブレーキはないけれど、主にオートハイビーム用のカメラが付いており、オートハイビームが機能する」という車もある。

 そのため、自分の車にオートハイビームが付いているのか否かを確認し、使い方を把握する意味も兼ねて、操作パネルやメーター内の表示、取扱説明書を確認しておいた方が無難だ。

同じオートハイビームでも機能が異なる場合も!

写真はマツダ ALHのイメージ図。ハイビームを基本としながら、対向車が眩しくないよう左右の前照灯を細かく制御している

 基本的な機能はここまで書いた通りだが、最新のオートハイビームには「周りに迷惑にならない範囲で最大限ハイビームを使って、少しでも夜間の視野を広げよう」という思想を持つものも登場している。

 これはトヨタ&レクサスの「アダプティブハイビーム(AHB)」、マツダの「アダプティブLEDヘッドライト(ALH)」などが該当する。

 仕組みとしては、前方の情報を収集するカメラと、マツダのALHという意味の通り、細かいオン・オフが得意なLEDヘッドライトを組み合わせるというもの(この場合、LEDヘッドライトのなかでも三眼タイプなど複雑なものが必要になり、残念ながらコストは高い)。

 そのため、「対向車はいるけど先行車はいない」といったシーンでは、対向車の迷惑にならないよう右側はロービーム、左側は視野を広げるためハイビームを使うといった細かな作動を行い、より積極的にハイビームを使って少しでも夜間の視野を広げるという恩恵が受けられ、夜間走行時の安全性向上に寄与する。

次ページは : 気になる現状の性能と注意点は?

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