気になる現状の性能と注意点は?
さて、冒頭に書いたJAFのオートハイビームの検証結果をもとに、現状のオートハイビームの性能を考察していこう。
JAFが行ったテストでは、トヨタ カローラスポーツ、日産 セレナ、ホンダ CR-Vという細かい切り替え機能のないオーソドックスなオートハイビームが付く、ジャンルの異なる車を使用し、2つのテストを行った。
●テスト1
オートハイビームをオンにし、ロービームで対向車に向かって60km/hで走行。対向車とすれ違い後ハイビームに自動で切り替わった時間を測定。
【結果】
3台とも対向車とのすれ違い後、1秒~3秒台の短時間でロービームからハイビームに切り替わった。ただし、切り替わるまでに対向車の直後から歩行者が横断することもあり得るので、注意が必要。
●テスト2
オートハイビームによりハイビームで60km/hで走行。対向乗用車・バイク・先行乗用車・自転車・歩行者という対象物に対し、ロービームに切り替わる距離を測定。
【結果】
車両に対しては、対向乗用車/約750m手前、先行乗用車/約580~670m手前、バイク/約190~490m手前と、充分な距離を保ってハイビームからロービームに切り替わったが、自転車と歩行者に対してはロービームに切り替わらずハイビームのままだった。
◆ ◆ ◆
テスト2が現状のオートハイビームの盲点で、機能紹介を見ると「先行車や対向車に応じて」とは記載されているが、現状「自転車や歩行者も把握する」というオートハイビームは、おそらく存在しない。
現状の技術では自転車や歩行者の有無まで加味してロービームとハイビームを切り替えるのは困難ということだ。
そのため、オートハイビームが付いていても、先行車追従型のクルーズコントロールや緊急自動ブレーキと同じように、「有効な運転支援システムではあるけれど万能ではなく、周囲の状況や天候などによっては適切に作動するとは限らない」、「そのため機械任せにせず、ドライバーによる正しい操作や監視が必要」という認識を強く持ってほしい。
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