2019年2月18日、トヨタが突如フィリピンで「海外向け」の新型ハイエースを発表したのだが、その姿を見て違和感を覚えた方も正直多かったのではないだろうか。
ハイエースといえば、2004年にフルモデルチェンジされた現行型の5代目H200系まで歴代を通じ、一貫してキャブオーバー型(運転席の下にエンジンを搭載)のライトバンとして君臨している商用ワンボックスカーの王者。
それが今回披露された新型ハイエースは、セミボンネットを持ったモデルになっていたのだから、無理もないかもしれない。
※本稿は2019年3月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月10日号
■海外展開へ向けたセミボンネット実装
ハイエースはこれまで、国内仕様ではキャブオーバータイプしか販売されたことはないのだが、実は海外では英国など欧州で乗用モデルの後期型グランビアをベースに商用車として簡素化したハイエースが、2009年からEUでの環境規制が強まった2012年まで販売されたことがある。
今回、フィリピンで公開された新型海外仕様ハイエースはご覧のとおり、フロントにセミボンネットを備えるが、理由はクラッシャブルゾーンを確保し、衝突安全性に配慮したからにほかならない。
ちなみに、フィリピンでは1994年からハイエースが輸入され、2018年は商用バンとしてフィリピン国内で6割に迫るシェアを持つ。こういった情勢を踏まえ、トヨタはフィリピンで新型の海外仕様ハイエースを発表し、今後はアジアと中南米を中心に展開していくこともアナウンスされた。
■「ショート・標準ルーフ」タイプで、国内のコミューターDXと10mmしか違わない大きさ
で、この海外仕様ハイエースだが、ボディタイプについては「ショート・標準ルーフ」と「ロング・ハイルーフ」の2タイプを設定。そのボディサイズはショート・標準ルーフでも全長5265×全幅1950×全高1990mm、ホイールベース3210mmとかなりの大きさを誇る。
日本で販売されている現行型ハイエースの売れ筋モデル、スーパーGLの標準ボディ・標準ルーフの全長4695×全幅1695×全高1980mm、ホイールベース2570mmと比較してみても、今回の新型海外仕様ハイエースの大きさがよくわかる。
では、ロング・ハイルーフのサイズはどうか。こちらも全長5915×全幅1950×全高2289mm、ホイールベース3860mmと国内モデルのハイエースコミューターDX(全長5380×全幅1880×全高2285mm、ホイールベース3310mm)を全高以外でははるかに凌駕する大きさとなっている。
エンジンは現行ハイエースと同様の2.8Lディーゼルに加え、V6、3.5Lガソリンの2種類を設定する。もちろん、TNGA思想に基づいた専用の新型プラットフォームを採用しており、先進安全装備のトヨタセーフティセンスも標準装備する。
そして、気になる日本での販売だが、現行ハイエースとはまったく違ったモデルで市場環境が異なることを理由に、海外仕様ハイエースが販売される予定はないという。
※日本向けハイエースのオリジナルモデルについてはこちらの記事をご覧ください!
コメント
コメントの使い方