いまやクルマの買い方として半数近くが「残価設定ローン」での購入だという。通常ローンとは異なり、3~5年後のクルマの残存価格をローンにする。
しかしよく考えると「得しているのか損しているのかわからん‼」、という消費者が多いのも事実。
頭金も、毎月の返済額も少ないけれど、どのような乗り方だと得をするのだろうか。毎月ディーラーを200店舗回るという遠藤徹氏に聞いてみた。
文:遠藤徹/写真:編集部
■金利も通常ローンより安い残価設定ローン
最近、新車販売で利用者が目立って増えているのは「残価設定ローン」だ。今や通常ローンを抜き、新車購入の半分以上を占めている。
新車価格の3~5年後の残価(残存価値)を差し引いて、残りの部分に対してローンを組む。つまり毎月の支払額が少なくて済む、というのが売り。
平均的な新車は3年後だと新車価格の半分、5年後は30%程度が残価となる。契約終了後は査定し、その額が残価を上回ればその分は払い戻しされ、乗っていたクルマを返却する。
もし同じクルマに継続して乗りたければ精算分を現金で購入するか、通常ローンに切り替えて組む。またクルマを返却し、別の新車に乗り換える選択肢もある。
つまり契約終了時には3つの方法でどうするか選ぶことが可能になる。
続いて同じように残価設定クレジットを組むことはできないことになっている。
例えばトヨタのプリウスAグレード ツーリングセレクションに有料色のホワイトパールにナビレディセット、フロアマット、ボディコート、ドライブレコーダー、9インチナビを付けると諸費用込みで総額約373万円となる。
これを残価設定クレジットで組むとする。頭金3万4300円、割賦元金350万円、60回払いだと初回5万円、毎月4万5300円。実質年利4.3%、最終回払い135万3000円、割賦手数料は約53万円。
これに対して通常ローンは頭金3万5000円、割賦元金350万円、支払回数60回、初回7万円、毎月6万9000円、割賦手数料65万円。実質年利6.9%で残価設定クレジットよりも2.6ポイント高い。
結果としては残価設定のほうが年利は低く支払総額もやや低いが、これは残価設定ローンの契約中に事故や損傷などが起こらなかった場合なのだ。
■結局どんな人が残価設定ローンで得するのか?
残価設定ローンで新車を購入する人はどんな人が向いているか。簡単にまとめると、あまり予算がないけれど一定期間内にいろいろなクルマに乗りたい人には好都合といえる。
また3~5年後にクルマの残存価値を査定するわけだから、クルマを傷つけず大切に乗るような人、週末しか乗らないなど走行距離が短い人には最適だろう。
事故を起こしたり、傷つけたりすると査定額が残価を下回り、その分を負担しなければならなくなることは、残価設定ローンを使用するときには必ず覚えておきたい。
(編註:擦り傷程度なら支払いへの影響は少ないが、全損した場合は手元にクルマがなくなっても、買い取り金額を全額支払う必要が出るケースも)。
また残価設定ローンを利用する場合に覚えておきたいのが、その時の金利に注目する必要があること。
実質年利だと通常は4~6%が一般的だが、キャンペーン期間だと販売店が車種を決めて1.9~2.9%などと低金利を設定したりする。
この機会を逃さずにしっかりと活用するとよい。超低金利の1.9%などはメーカーによって格差が大きい。
日産やホンダは複数の車種に設定してキャンペーンを盛り上げたりしているが、トヨタなどの他社は1~2車種程度に限定する傾向がある。
新車価格に対する残価や同パーセンテージがどの程度かは車種によって異なる。人気が高い、モデルが新しい場合は残価が高いケースが多い。
そしてその数値は時の経過とともに変動していく。お目当て車がどの程度の残価になっているかは、残価設定ローンを組む時に担当の営業マンに聞けば教えてくれるのでズバッと聞いてみるのがベストだ。
ちなみに2019年4月中旬現在で比較的残価が高いモデルは以下のとおりだ。
【トヨタ】
プリウス、クラウン、ランドクルーザー、ランドクルーザープラド、ハリアー、C-HR、アルファード/ヴェルファイア
【日産】
セレナ、エクストレイル、ノート
【ホンダ】
フリード、フィット、ヴェゼル
【スズキ】
ソリオ、スイフト、クロスビー
【スバル】
フォレスター、インプレッサ、レガシイ
【マツダ】
CX-5、CX-8、マツダ3
【三菱】
デリカD:5、アウトランダー
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