ダイムラー・トラックは、これまで「eアクトロス・ロングホール」と呼んでいた長距離輸送用の大型EVトラックを2023年10月10日に正式発表する。量産車のモデル名は「eアクトロス600」となり、予定通り2024年から量産を開始する。
長距離輸送用として500km以上の航続距離を確保したほか、トラクタ(けん引車)系に加えて発売当初からリジッド(単車)系を発売する計画で、ディーゼル車と比較してもコスト競争力のある長距離輸送用トラックを目指している。
ダイムラーは5月末に日本の商用車事業でトヨタ自動車と提携すると発表し、傘下の三菱ふそうと日野自動車(トヨタグループ)を統合する方針を明らかにしている。長距離輸送セグメントは大型トラックのボリュームゾーンで、商用車のCASEを巡って世界的に(もちろん日本を含む)競争が激しくなりそうだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG・フルロード編集部
「eアクトロス・ロングホール」は「eアクトロス600」として10月に正式発表
ドイツ・シュツットガルト近郊のラインフェルデン=エヒターディンゲンに本拠を構えるダイムラー・トラックは世界最大規模の商用車メーカーだ。ダイムラーグループの商用車部門が2021年に分社化されたもので、乗用車と同じく「メルセデス・ベンツ」をブランドとしている。
日本では三菱ふそうトラック・バスを傘下に持つ同社は、2023年5月に商用車事業でトヨタ自動車との提携を発表、併せて三菱ふそうとトヨタグループの日野自動車を統合するなど、商用車分野のCASE(電動化を含む自動車の先端技術)を巡って業界再編の動きが加速している。
そのメルセデス・ベンツ・トラックから長距離輸送用の大型バッテリー電気(BEV)トラックが間もなく登場する。これまで「eアクトロス・ロングホール」と呼んでいたトラックの量産バージョンを、「eアクトロス600」という新しいモデル名とデザインと共に、2023年10月10日に世界初公開する。
モデル名の数字(600)は中・近距離輸送用に既に量産化している「eアクトロス300/400」と同様、バッテリー容量(kWh=キロワット時)を表す。バッテリーの強化と自社開発した新型電動アクスル(eアクスル)により、途中充電なしで500km以上の航続距離を実現する。
電費効率に優れた新型eアクトロス600は、従来のディーゼルエンジンを搭載したアクトロスを含め、メルセデス・ベンツの全てのトラックの中で最も効率的な長距離輸送用トラックとなることを目指しているという。