コスト効率でもディーゼル車を超える!! メルセデス・ベンツが長距離輸送用の大型EVトラックを間もなく正式発表!

プロトタイプでの経験が量産化にも貢献

コスト効率でもディーゼル車を超える!! メルセデス・ベンツが長距離輸送用の大型EVトラックを間もなく正式発表!
eアクトロス・ロングホール(プロトタイプ)の経験は量産化にも役立っている

 ダイムラーはこのBEVトラックによって、道路輸送のCO2ニュートラル化という未だ遠い目標に向けて加速する。

 メルセデス・ベンツの長距離輸送用BEV大型トラックは「IAAトランスポーテーション2022」(2022年9月)で、コンセプト・プロトタイプの「eアクトロス・ロングホール」として初めて公開された。

 eアクトロス・ロングホールはメルセデス・ベンツのヴェルト工場でこれまでに複数台のテスト車両が製造されている。主要コンポーネントは同社のマンハイム工場、カッセル工場、ガッゲナウ工場で製造したほか、2023年初めまでフィンランドで冬季テストを実施したことが明らかにされている。

 これまでに製造された約50台のプロトタイプは、次の段階として顧客の元での実運行に供され、その実用性を実証する予定だ。同時に、同社の4工場がeアクトロス600とそのコンポーネントの量産に向けた準備を進めており、(以前から発表されているロードマップ通り)2024年に量産を開始する。

 eアクトロス600はヴェルト工場の既存の組み立てラインで製造される。ディーゼルエンジンのトラックと並行して製造するフレキシブルな工程で、eアクスル、高電圧バッテリー、フロントボックスなど、電動ドライブに関係するコンポーネントも同じ場所でインストールする。

 量産に向けてプロセスを最適化するために、いわゆる生産立ち上げチームが開発者とともに取り組んでいる。プロトタイプの製造で得られた知見は車両開発にも活かされており、プロトタイプ車両も可能な限り量産車と近い組み立てラインで製造している。

 また、高電圧のコンポーネントや車両を扱う従業員のために特別教育を実施しており、今日までにヴェルト工場だけで2700名が社内のトレーニングセンターで研修を受けたそうだ。

電動化のためにドイツ国内の4工場の変革を進める

コスト効率でもディーゼル車を超える!! メルセデス・ベンツが長距離輸送用の大型EVトラックを間もなく正式発表!
工場では量産化に向けた準備が進められている。写真はeエコニックのもの

 コンポーネントを製造するマンハイム、カッセル、ガッゲナウの各工場も、組み立てを行なうヴェルト工場と共に、電動ドライブに向けたプロセスの変革を進めている。

 商用車用エンジンを製造するマンハイム工場は、電動化技術においても25年の経験を持ち、eアクトロス600用の「フロントボックス」呼ばれる部品もマンハイム工場で製造する(プロトタイプ・量産共に)。

 フロントボックスはバッテリー駆動用の複雑なモジュールで、従来はエンジンを搭載していたスペースを効率的に利用するためのもの。複数の制御系ユニット、高電圧コンポーネント、電動エアコンプレッサなどが組み合わされている。また、個別のコンポーネントの組み立てと試験もマンハイム工場で行なう。

 ガッゲナウ工場は大型車用のトランスミッションを専門とする。電動ドライブ用のコンポーネントでは、2021年からeアクトロス300/400やeエコニックのeアクスル向けに重要な部品を製造している。

 eアクトロス600を駆動する新世代のeアクスル用の部品もガッゲナウで製造する予定だ。シャフトやギア、ハウジングなどガッゲナウで製造されたメカニカルなパーツはカッセル工場に運ばれ、そこでアクスルやトランスミッションの組み立てが行なわれる。

 eアクスルの組み立てを行なうのもカッセル工場だ。eアクトロス600用の新世代eアクスルは、長距離輸送用に特別に開発されたもので、より優れたパフォーマンスと効率のために多くの技術革新を盛り込み、電気駆動のアーキテクチャ(駆動電圧)は、400ボルトに代わり800ボルトを採用した。

 プロトタイプのeアクスルもカッセルで製造しているが、量産開始に向けて機能性・安全性に関するテスト・検査ステーションと共に、組み立てラインを新設する。

 また、「共通部品の原則」は新世代のeアクスルにも適用される。つまり非駆動軸、ホイール、ブレーキ部品などは従来車と同様で、カッセル工場が20年以上にわたって製造してきた信頼性の高い部品を採用するということだ。組み立てラインは極めて柔軟で、従来の車軸とeアクスルを状況に応じて切り替えることができる。

次ページは : 間もなく正式発表される新型「eアクトロス600」とは?

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