クルマに乗っている時に、弱い雨にみまわれてワイパーを作動させた瞬間。目の前に広がる油膜に視界をさえぎられ、ヒヤッとするとともにこの世の終わりが訪れたのではないか? と思うほどの絶望感に襲われたことはないでしょうか?
そのタイミングが夕方で太陽に向かって走っている時だったりすると最悪な状況に陥ります。
今回取り上げるのは油膜です。視界の確保の敵である頑固な油膜について諸星陽一氏が解説。これを読めば油膜にお手上げ状態の人も視界スッキリ快適&安全ドライブができる!
文:諸星陽一/写真:ベストカー編集部
憎き油膜は何者?
ところで、この油膜はどこからやってくるのでしょう?
そもそもクルマにはさまざまな部分に油分が含まれています。可動部にはグリスやオイルを使っていますし、ピュアEVや水素FCVでなければ燃料も石油系ですし、エンジンのなかにはオイルが入っています。
そうした油分が何らかの原因でウィンドウに付着し広がれば、油膜になっていきます。しかし、油膜と思われているうちの多くは油膜ではなくシリコン被膜であることが多いのです。
シリコンはワックスなどに含まれていますので、ルーフにワックスにかければそれが徐々に落ちてウィンドウに付着しますし、ボンネットのワックス成分も雨水と一緒にフロントウィンドウに付着します。
また、環境も油分にあふれています。道路はアスファルトで作られていますし、前を走るクルマの排ガスにもオイルが含まれています。また、鳥の糞や樹液なども油分があり、それらが原因で油膜が発生します。
油膜を防ぐことはまず不可能です。できることいえば、ワックスの使用をやめて、ガラスコーティング材にするとか、フロントウィンドウにはっ水加工を施し油分の付着を防止したりということがメインとなります。ですので、大切なのはウィンドウに付着した油分をいかに効率よく除去するかということになります。
洗剤を使い分ける
まずは洗車の時にウィンドウの油膜をしっかりと除去することが大切です。油分を落とすのに便利なのがキッチンで使う中性洗剤です。
油や脂でギトギトのフライパンの汚れだってキレイに落とせるのですから、中性洗剤を使えばかなりの油分は落とすことができます。
究極的ならばしつこい油分を除去するためにはアルカリ系の洗浄剤のほうが効果的ですが、ボディの塗装に対するダメージも考えられるのであまりおすすめできません。
どうしても落ちないような油汚れがあるときは、アルカリ系の洗浄剤を薄めてクロスに浸して固く絞って拭きすぐに大量の水で洗い流します。
しかし、それでも落ちない頑固な汚れがあります。実はこれらは油膜などではなく、カルシウム分などがおもな成分です。
またはっ水コートなどがはがれてムラとなっているときなども一度しっかりとはがしたほうが、再コートなどもキレイに行えます。
こびりついた汚れを取り除くには削り取ることが前提となります。削り取るといっても、カンナやヤスリを使うわけではなく、ガラス用の超細目のコンパウンドやコンパウンド入りのガラス用クリーナーを使うのが基本となります。
この作業はそれなりの力仕事になりますので、涼しいタイミングを見計らって行うのがいいでしょう。
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