バスの車両火災について調べてみた!


 車両火災に関する取材をしている時、「なぜバスはよく燃えるの?」という質問を受けた。

 エッ? バスはそんなに燃えているのか?

 これがその質問に対する率直な感想だ。台数が多い乗用車ですら、路上でクルマが燃えたなんてニュースはたまに夕方のニュースで話題になるだけ、という認識で特にバスの火災が多いと感じたことはなかった。とはいえ、気になる話題について調査してみた。


事故は意外にも起きていた。

 そんな疑問を解決するために国土交通省の資料を調べてみた。これは緑ナンバーで旅客営業をするバスのみの統計。すると平成19年/18件、平成20年/10件、平成21年/16件、平成22年/17件と4年間で61件の火災事故が発生しているそうだ。さかのぼって資料を調査すると、平成15年/16件、平成16年/31件、平成17年/22件、平成18年/17件。8年間で147件のバス火災が発生している。

 こりゃー「たまに燃えている」というレベルではないですな。そんなこんな言っていたら最近も火災事故が発生していたことが判明。8月18日に新潟県内の磐越自動車道を走行していた高速バスから出火。乗客、乗員は無事だったがバスは全焼した。運転士が走行中に車体後部のエンジン付近から火が出ていることに気づきバスを止めたそうだ。危機一髪である。

 いやはや、高速道路を100㎞/h近くで走っているバスから炎が出るなんて恐ろしいことだ。それが年間2桁件数も起きているなんて怖すぎる!! 弊誌でおなじみ、そしてバスにも詳しい西村直人氏に話を聞いてみた。
なんでバスは燃えるのだろうか?

バスが燃える原因とは一体…?

 「バスが燃えるというのはたしかにそのニュースだけ見ると恐ろしい部分はあると思います。昨今は整備不良だとか、いろいろ言われて報道されますしね。そもそもの要因としてはバスの特徴的な構造にあると思います。

 バスはRRです。リア駆動、リアエンジンですね。なのでフロントにエンジンのある一般的な乗用車とは違って、走行中に風が当たりにくいという問題もあります。乗客の乗車スペースを考えるとリアにエンジンを搭載することが効率的ですが、風が抜けない場所で熱がこもりやすいという弊害もあります。

 また最近のエンジンの進化もひとつの影響なのかなと思います。たとえば昨今は乗用車でもダウンサイジングターボがトレンドになってきていますが、商用車の世界では以前から大型のトラックやバスに導入が進んでいて、だんだん小排気量ターボエンジンが増えてきています。

 しかしながら、バスは大きく重く、エンジンにかかる負荷は乗用車の比ではありません。もしかしたら重い負荷がエンジンにかかってしまい、タービン近辺から出火してしまう要因があるかもしれません。とは言っても当然ながらメーカーはそんな対策はしていますし、私も2日間で数千㎞乗ったりしますが火災が起きたことなんて一度もありませんよ。

 誤解しないでいただきたいのが『バス=危険』というわけではないということです。一般的な乗用車の火災もかなり多いですし、バスだけが毎年異常な数の火災を引き起こしているわけではないことはお伝えしたいです。構造上の制約に、さまざまな要因が重なっての火災事故ですから、バスが火災を起こしやすい乗り物という認識はすこし極端ではないかなと思います」。

 バスはポルシェと同じRRだったとはなんだかすごく親近感がわいてきた担当。ポルシェのように全長が4mちょっとしかなければ、エアダクトなどで走行風をエンジンルームに送ることはできる。しかし同じことを10mを超える長さで、しかも長方形というデザイン的制約のあるバスでやるのは至難の業である。
 火災原因のほとんどは人間にあり?

 西村氏の指摘にあった乗用車の火災について調べてみた。メーカーから国土交通省に連絡のあった火災事故のみだが、昨年だけでなんと465件も発生している。すべてが全焼というわけではないが、なかには死者が発生している火災事故も確認できた。


次ページは : バス火災の原因が判明