最近「自動車メーカー×空の話題」というと、もっぱらホンダジェットの話題ばかりだった印象があるが、その出発点を航空機製造会社におくスバルも負けてはいられない。
2019年6月、スバルがかねてから米国ベル・ヘリコプター・テキストロン社とともに共同開発を進めてきた民間向けのヘリ、「SUBARU BELL 412EPX」が、日本の警察庁から世界初受注したことが発表されたのだ。
※本稿は2019年7月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年8月10日号
■ベル社の協力のもと 400機以上のヘリコプターを生産
そもそもスバルはベル社とともにUH-1H/204B-2、UH-1J/205B、AH-1Sなど400機以上の機体を生産し、納入してきた背景がある。
そんななかで今回の受注は、今年3月にスバルが落札していたもので、最新鋭機である「SUBARU BELL 412EPX」としては初の受注になるということだ。
今後、2021年3月に警察庁に納入された後、岩手県警察へ配備される予定だという。
上の写真が「SUBARU BELL 412EPX(試作機)」。これが警察庁仕様になると、下にある日の丸の入ったイメージパースのようになる。
で、この412EPX、いったいどんなヘリかというと、スバルが独自開発したレーザーピーニング技術の採用でメインローターギアボックスが強化され、ドライライン能力を向上し、最大全備重量を1万2200Lbs(約5500kg)まで増加。
さらにマストトルク出力向上11%(飛行速度60ノット=約111km/h以下)を実現した中型双発ヘリコプター。
スバルが自動車生産で培ってきたノウハウが盛り込まれた「スバルエアロスペースプロダクションシステム」が導入され、生産性が高められている。
■スバルとベル社のパートナー関係は1960年代から続く
もともと412シリーズは過酷な条件のもとでも高い信頼性を誇るヘリで、キャビンの使い勝手とアレンジ性の高さが人気を呼んでいる。
日本や米国以外にもオーストラリアやカナダなどで主に政府用・公共用途で活躍する。
昨年7月に開催された英国でのファンボローエアショーで、スバルとベル社はBell412シリーズの最新型で、陸上自衛隊新多用途ヘリの開発プラットフォーム、SUBARU BELL 412EPXの販売協力について発表。
その後、今年2月には新多用途ヘリの試作機が防衛省に納入されていた。
そもそもスバルとベル社との関係は1960年代にまでさかのぼる。
当時、HU-1B/204Bヘリのライセンス生産を開始してから現在に至るまでパートナー関係を結んでいる。
これまでにスバルではUH-1H/204B-2、UH-1J/205B、AH-1Sなど400機以上のヘリを生産し、防衛省などに納入してきた。
スバルといえばどうしても飛行機のイメージが強いのだが、最新ヘリにもその技術が受け継がれているようだ。
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