ここ2、3日、西日本から東日本にかけての広い範囲で天気が崩れがちです。もちろん荒天時の運転にも十分注意が必要ですが、これまでの暑さを思えば、ふと気も緩みがち。
しかし、夏のピークが去ったとはいえ、この週末には東京・大阪・名古屋などで33℃、34℃の予報も見られるなど、まだまだ油断はできません(ベストカーでは、外気が23℃でも車内の温度は70℃に達するという記事もご紹介しています)。
昨年は9月でも3000人近い熱中症搬送者が出ており、死亡者も出ています(総務省の資料より)。特に車内では短時間で急激に温度が上がりますから、今後も十分注意が必要です。
〈これだけでも覚えてほしい 熱中症の主な症状と分類〉※環境省のパンフレットより抜粋
●重症度I度…手足がしびれる/めまい、立ちくらみがある/筋肉のこむら返りがある(痛い)/気分が悪い、ボーっとする
●重症度II度…頭がガンガンする/吐き気がする、吐く/体がだるい(倦怠感)/意識が何となくおかしい
●重症度III度…意識がない/体がひきつける(けいれん)/呼びかけに対し返事がおかしい/まっすぐ歩けない、走れない/体が熱い
※本稿は2019年7月のものです
文:高田裕子(メディカルライター)/写真:Adobe Stock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年8月26日号
■熱中症は誰にでも起こる
「暑い環境に身体が順応できずに起こる健康障害」 それが熱中症だ。
体温が上がり、大量に汗をかき、めまい、立ちくらみ、頭痛、嘔吐、筋肉の硬直などから意識障害、けいれん、失神に至るまで多様な症状が発生し、ときに生命の危機を招く。
酷暑のなかでは体内で産熱と放熱のバランスが崩れ、普段36℃~37℃に保たれている体温が正常に維持できなくなる。体内にこもった熱を外へ排出しようとして、血液が体の表面(皮膚のすぐ下)に集まる。
汗が蒸発する時に熱が奪われる「気化熱」の仕組みを利用して皮膚や血液を冷まそうとする生体のメカニズムだ。
ところが、血液が皮膚表面に集まることによって、血圧が急激に下がったり、脳へ充分な血液が届かなくなったりする。こうして、めまい、立ちくらみ、意識障害などが生じることになる。
■予防策は?
ドライブ中に熱中症に陥るのを防ぐには、どうしたらよいのだろうか。
第一に、とにかく車内の温度を下げることが大切だ。
JAFによると、気温35℃の炎天下に駐車したミニバンの車内温度は45℃を超えるという。窓を閉めた状態でエンジンを停止したあと、わずか15分で車内環境は人体にとっての危険レベルに達するそうだ。
車内温度を下げる効果的な方法が「エアコン+走行」法だ。
まず窓を全開にしてからエアコンを「外気導入」にして走行し、車内の熱気が外へ出たら窓を閉め、内気循環にして車内を冷やす。
JAFによると、この方法で車内温度は5分間で55℃から28℃まで下がるという。
熱中症対策としてもうひとつ大切なのは、水分補給だ。
汗をかくと水分だけでなく塩分(ナトリウム)も失われるので、それら両方が適切に配合されているスポーツドリンクや経口補水液を摂るのがよい。渇きを感じる前に少しずつ補給するのがポイント。
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