外環道や圏央道……[シールドトンネル工事]で重大事故が多発しているのはなぜなのか?【清水草一の道路ニュース】

■道路建設長期化に追い打ちをかける建築資材の高騰

 高速道路の長大トンネル工事には、長い工期が必要だ。入札から完成まで、順調にいっても10年かかる。その間に人手不足が深刻化。建設業界では、熟練技術を持つ職人が引退する一方で、厳しい労働環境や公共事業削減の波もあり、後継者が思い通りに育っていないと推察される。

 そもそも近年は、景気の回復とともに公共事業にうまみがなくなり、競争入札における「不落」(落札者なし)が頻発している。かつての利権など雲散霧消。公共事業は割に合わない仕事になりつつある。

 そこに建設資材等の高騰が追い打ちをかけた。シールドトンネル工事を落札したゼネコンにすれば、「やめときゃよかった」が本音かもしれない。現場が疲弊するのは当然だ。

外環道の東名JCTにおけるランプシールド建設現場のようす(2024年6月現在)
外環道の東名JCTにおけるランプシールド建設現場のようす(2024年6月現在)

 近年は、あらゆる工事の完成が予定より遅れて当たり前になってきた。高速道路建設も、日本の老化の波をモロに受けている。これは長期的な流れなので、簡単に止めることはできないだろう。ドライバーは状況を理解して、気長に開通を待つしかない……のだろうか?

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