2005年に登場した3代目RAV4には、海外向けにロングホイールベース仕様が存在した。日本ではそのロングホイール仕様を市販せず、別のクルマが作られた。それがヴァンガード。ほどほどのサイズに7人が乗れる、今考えると実に便利な傑作車だった!
文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ
■3代目RAV4から派生した3列シートモデル
1994年に登場した初代RAV4。このクルマはクロスオーバーの先駆けともいえるクルマだが、「アクティブ感+スペシャリティ」の表現として3ドアにこだわり、車格自体もあえてコンパクトに設計された。
しかし世に出てみると、アメリカ市場を中心に「小さすぎる」という声が強く起こり、翌年にはロングホイールベース版である5ドアモデルが登場、以来じわじわとボディサイズを拡大する流れをたどる。
そして2005年、RAV4は3代目へと進化する。この世代でRAV4は3ドアを廃止、5ドアにショートとロングを設定し、ロングには3列7人乗りまで用意されるという、当初とはまるで異なるクルマになった。
とはいえ日本では、RAV4といえばコンパクトSUVのイメージが強い。そこでトヨタはどうしたか。日本市場ではRAV4はショートモデルのみを売り、ロングホイールベースモデルに別の名前を与えた。そのクルマこそが、ヴァンガードだ。
■RAV4にはない3.5リッターV6エンジンを搭載!
ヴァンガードが登場したのは2007年夏のこと。前述した通りRAV4ロングの兄弟車だが、フロントマスクが変更され、オーセンティックなセダン顔とでも呼べそうな風貌が与えられた。背面タイヤもオプション扱いで、これまたスマートさに一役買うことになった。取り扱いはトヨペット店とカローラ店だ。
全長4570mm、全幅1815mm、全高1685mm(※グレードによって相違あり)というボディサイズは、今となってはSUVの平均だが、ヴァンガードはグレードの一部に3列シート仕様があり、7人乗車が可能だった。とはいえ4.5m余の全長では限界があり、3列目シートはエマージェンシー用途と考えられた。
いっぽう新たな魅力も与えられた。それがV6エンジンだ。RAV4と同じ2AZ-FE型2.4L直列4気筒エンジンもラインナップされたが、それとは別にヴァンガードは2GR-FE型3.5L・V6エンジンを搭載したのである。
このエンジンは一見おとなしいヴァンガードに280psという「羽根」を与え、高速などでは侮れぬ走りを可能にした。
4WDシステムは、3代目RAV4と共通の電子制御式。FFと4WDを自動で切り替えるアクティブトルクコントロールも標準装備として、燃費と駆動力を高いレベルで両立させていた。
ヴァンガードは、俳優の伊原剛志を起用した印象的なCMもあって、発売当初は予定台数を上回る売り上げを見せた。
しかし先代のクルーガーと同様、ヴァンガードは身内に強力なライバルを抱えていた。それがハリアー。当時は2代目ハリアーの時代だが、特にトヨペット店ではハリアーとヴァンガードが併売されたため、多くの人の目はハリアーの豪華さに魅了されがちだった。
結局ヴァンガードは、後継モデルにバトンを渡すこともなく、2013年に発売を終える。トヨペット店にはハリアーがあったものの、カローラ店はヴァンガードの終売によってSUV不在の時期を迎える。この空白が埋まるのは、2016年のC-HRの登場によってである。
手頃なサイズで7人乗りを実現させたヴァンガード。派手さこそないものの、今だったら結構人気を呼びそうに思うのだが、いかがだろう。
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