燃費至上主義で見えなくなっているもの【編集部便り】

燃費至上主義で見えなくなっているもの【編集部便り】

 最初に断っておきますが、本企画担当は現行プリウスが好きです。

 惜しみなく注ぎ込まれた世界最高峰のテクノロジーや、かなり挑戦的なスタイル、キビキビとした走行性能、それにCMがいいですよね。福山雅治さんと大泉洋さんがとてもいい味だしています。犬も出てくるし。

 その上で、最近のハイブリッド至上主義、省燃費性能第一主義みたいな風潮に、なんだかなあ……と思っていたりするわけです。本日はそんなお話をひとくさり。

文:Web編集部
写真:平野学、Shutterstock.com


「あの車どう?」の次に聞かれる定番の質問

 仕事柄、「今度車買おうと思ってるんだけど、何がいい?」とか「あの車気になってるんだよね。評判どう?」と聞かれることが多々あります。

 親類縁者、有人知人だけでなく、初対面の人に名刺を渡すと、「あー、昔読んでましたよ、そういえば最近いい車ありますか」とよく聞かれるんですね。

 なお本企画担当は、「トヨタ車と日産車で迷ってるんですけど、どっちがいいですかね」と聞かれたことが人生で2回あります。

 好きにしたらええがな。あと質問が雑。

 これ、議題が車だからなんとなく許されてる感じですけど、アニメ好きに「今度アニメ見ようかと思ってるんですけど、ガンダムとプリキュア、どっちがいいですかね」とか聞いてるのと一緒ですから。相手が相手だったら殴り合いになる質問ですよ。

 それはさておき本題です。

「今度買おうと思ってる車」、「最近出た車」、「気になってる車」、「CMが特徴的な車」、話題の入口はいくつかありますが、質問の第二陣は6〜7割がた決まっています。

 流れるように「で、燃費は?」。

 いや気になるのはわかります。

 現在の日本市場において、多くのユーザーが最も重視しているのは(価格帯の次に)燃費性能ですから、それはつまり各社の技術水準が最もわかりやすく表出している分野でもあります。

 目に見えるかたちで(JC08モード燃費のカタログ値として)数値化されていて、横並びで比較できるのも大きいですよね。16.0km/Lと18.3km/Lを比べれば、ほかの性能やスタイル、価格がすべて同じであれば、そりゃ数値が大きいほうが上なのは間違いありませんから。

 ただここがポイントなんですよね。「ほかの性能やスタイル、価格がすべて同じであれば」っていう前提条件は、現実問題としてあり得ないわけです。

 中学生がよく盛り上がる、「容姿も性格もまったく同じだったら巨乳と微乳どっちがいい?」という話題と一緒です。一緒か? いやまあそれはいいか。

 売れ筋の車を見ても、ハイブリッド車が圧倒的な強さで席巻しています。

 2017年3月の車種別販売台数ランキング(普通乗用車)では1〜10位まで、すべてがハイブリッド専用車かもしくはハイブリッド(e-POWER、S-HYBRID含む)グレードを持つ車種でした。

 ただこの売れ筋車の話にしても、上述の販売ランキングに軽自動車を入れれば、ハイブリッドグレードを持たないホンダのN-BOXが2万6124台で1位なんですよね。

※自販連および軽自協発表台数をもとに本誌が作製
※自販連および軽自協発表台数をもとに本誌が作製

 要するに何が言いたいかというと、もっと好きな車に乗ればいいじゃないですか、というシンプルな話だったりします。

プリウス、実はなにげに本企画担当の次期愛車候補だったりします。<br>なんかこう、「幸せの匂い」がしますよね
プリウス、実はなにげに本企画担当の次期愛車候補だったりします。
なんかこう、「幸せの匂い」がしますよね

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