高さ1.5m……。人気車でいえば、日産 ノートやホンダ フィットなども全高は1.5m超。つまり、通れないトンネルということになる。
そんな“低すぎるトンネル”が都会のど真ん中に存在している。しかも、消滅の危機に陥っているという。どこにあるのか。なんでいままで放置されていたのかも不思議だが、何はともあれ調査しました。
文/写真:ベストカー編集部
ベストカー2017年9月10日号
仰天トンネルは田町駅と品川駅の間に存在
この写真の場所、ちょうど通行中のタクシーのルーフにのった会社名を表示する『行灯』がトンネル天井に当たりそう!! とにかく高さが低く、ミニバンなんて絶対に通過できない、うっかり迷い込んだら大変なことになっちゃう都心の魔界スポットなのだ。
どこにあるのかというと、【図】のとおり都心も都心、港区高輪。JR田町駅と品川駅の中間地点、都営浅草線の泉岳寺駅がある辺り。
この写真でタクシーが進入してきた奥側が第一京浜(国道15号線)で、手前側約250m先の出口側が芝浦地区(住所は港区港南二丁目)となる。
入り口に設置された標識では高さ1.5m以下に制限されている。
実際に身長176cmの筆者が歩いてみると、入り口からしばらくはギリギリ頭が当たることなく歩けるのだが、50mほど進むと天井が一段低くなり、直立では完全に頭が当たってしまう。
実測値170cm弱といったところか。車道路面にはうねりがあって、結構な速度で走ってきたタクシーはバンプして行灯が当たりそうになっていたけどお構いなし。ミニバンは絶対に通行できない。
低すぎトンネルの歴史と山手線新駅完成に絡む廃止の噂
正式名称は「高輪橋架道橋下道路」という港区道で、実はトンネルではなくJR線路が道路上にかかっている、という構造。なので、正しくは「ガード下」だが、感覚的にはトンネルそのもの。
なんでこんなに低くて長いのかというと、この上には元々国鉄時代から田町電車区、東京機関区、品川客車区などの鉄道車両基地が広大に広がっているため。
また、芝浦地区は今ほど開発されていなかったため、最低限の高さで乗用車が通れればいい、というギリギリの基準で道路を造ったため。さらに、時代を遡ると、この地域は海岸線で、鉄道をくぐる水路があった場所が後に埋め立てられて現在の道路になったという歴史がある。
現在この場所は山手線30個目となる新駅開業に向けて再開発事業が進められている。
当地は「品川駅北周辺地区土地区画整理事業」により一大商業エリアとして再整備され、トンネルは「第二東西連絡道路」という名で基幹道路として再整備される。
すでにJR車両基地は規模を縮小して移設されており、最も第一京浜側を走る山手線、京浜東北線の線路を海側に移設させる工事ができるよう更地が広がっている。
新駅開業は2020年の計画で、2024年にはこの新駅周辺の『街開き』が予定されている。道路を管理する港区によれば工事開始は未定とのことだが、いつ工事が開始されても不思議ではない状況だ。
近未来的な再開発の街ができるいっぽうで、昭和の遺構のような隠れた名所が消えようとしているのだ。
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