2023年3月9日、「全国トヨタ販売店代表者会議」が開催された。トヨタの豊田章男社長(次期会長)、佐藤恒治次期社長、国内販売事業本部の友山茂樹本部長らが参加して、全国から集まった225社のトヨタ・レクサス販売店トップたちへ、メッセージを発信したとのこと。トヨタの販売戦略に関して、大変興味深い発言があったので、ご紹介します。
文/ベストカーWeb編集部、画像/TOYOTA(トヨタ佐藤恒治次期社長)
※本記事は『トヨタイムズ』「電動化など変化の時代、「トヨタと販売店の関係」は今後どうなる?」より発言等を引用しております
https://toyotatimes.jp/toyota_news/1025.html
■単なるモノの価値ではなく、心と心の関係
会場に集まったトヨタディーラー経営陣を前に、まずは豊田章男社長が登壇。日本の自動車産業全体が大きな節目を迎えており、特に自動車メーカー、各販売店が直面している「危機」について語り、そのうえで、「「危機」という字は「危険」と「機会」という言葉でできています。私は、皆様と心を合わせて、この危機を、モビリティ・カンパニーへの変革の機会にしたい。そう思っております」と語った。
この日、最も会場が大きく反応したのは、後半の「トークセッション」中に投げかけられた、「一部の海外メーカーのように、メーカーのWeb直販の可能性はあるか?」という質問に対して、佐藤恒治次期社長が「断言します。少なくともトヨタ・レクサスでは絶対にないです」と即答したシーンだという。
「例えば最近、知人が「プリウスを買いたい」と言ってくれて、なぜプリウスなのかというと、クルマの魅力もあるんですけど、販売店の方々とのコミュニケーションに心を打たれてプリウスを買おうと思った、と。
その人はそれほどクルマ好きでもないんですけど、今、毎晩プリウスのカタログを肴に晩酌しているって言うんですよ。
クルマに関心がなかった方を、そんな素敵な気持ちにさせるなんて(トヨタの)直販でできるわけがないですよ。
我々がお客様にお届けしている価値は、単なるモノの価値ではなく、そういう心と心の関係、心が動くようなサービスだというのを、僕はすごく実感しまして、そういう販売店の皆様と我々が一緒に頑張っている限り、この価値は我々のアドバンテージだと思います。」
『トヨタイムズ』「電動化など変化の時代、「トヨタと販売店の関係」は今後どうなる?」
佐藤新社長いわく、メーカーも販売店も「全員がトヨタ」であり、電動化を筆頭に、急速に変わってゆくモビリティ産業で生き残ってゆくうえで、市場のプレイヤーの役割は、単純な「クルマを作って売る」という構図ではなくなってゆくだろう、とのこと。
そうした激動の時代にこそ、トヨタは工販が一体となって知恵を絞り、進化のための挑戦をしてゆく、と。そのためには、トヨタが単独で(Web直販を通して)ユーザーと繋がるのではなく、「販売店」というハブを通したかたちで連携して変わってゆく必要がある、という決意を語ったかたちとなる。
全国のトヨタ販売店にとっては大変心強い発言であるし、また、大きな責任を感じる言葉でもあっただろう。大変革期にある日本の自動車産業、トヨタにはぜひとも一丸となって乗り越えて、日本経済を支えてもらいたい。
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