G7広島サミット開催(5/18~21)に合わせて、広島市の「ひろしまゲートパークプラザ」でさまざまなカーボンニュートラル対応車両が展示されているが、そこでスズキらしいユニークなクルマを見つけた。なんと牛フンを生成したガスで走るバイオメタンガス仕様のワゴンRがそれだ。牛が3億頭もいるインドならではの取り組みを紹介しよう。
文、画像/ベストカーWeb編集部
■3億頭ぶんの牛で3000万台のクルマを動かせ
インドには、なんと3億頭も牛がいるという。その牛が毎日排出する牛フンを燃料にできれば、カーボンニュートラルの取り組みとして大きな効果がある。そこに着目したスズキは、インドでバイオメタンガスの精製事業に取り組むという。すでに発売しているワゴンRのCNG(天然ガス)モデルに牛フンから作ったバイオメタンガスを使うことで、CO2の削減が可能になるという寸法だ。
もちろん、牛フンでなくてはならないことはなく、ニワトリのフンでも精製すればメタンガスになる。
そのワゴンRだが、インドでは年間20万台も売れる超人気車。その3割が天然ガスモデル(厳密に言うと天然ガス/ガソリン併用可能モデル)だという。意外にもインドでは天然ガスモデルがかなり普及しており、インドの新車全体に占める割合で約1割が天然ガスモデルだという。理由はガソリンよりも天然ガスが安いという理由が挙げられる。ちなみに車両価格で比べると、ワゴンRのCNG仕様は100万円ほど。同程度の装備を持つガソリン専用車よりもやや高めの設定だという。
エンジンは3気筒1Lで、ガソリンと天然ガスの両方に対応する。車内には切り替えボタンがあって、ガソリンで走るか、天然ガスで走るか、選択できる。なおガソリンでは最高出力65馬力、最大トルク9.1kgmほどだが、天然ガスでは56馬力、8.4kgmほどと、出力やトルクはやや落ちるが、5速MTなので意外にキビキビ走るはず。
天然ガスのタンクは10kgで、トランクを独り占めしているのが残念だが、1kgで34km走ることができるという。単純計算だが満タンで340kmほど走れる計算だ。なお天然ガスの充填口はガソリンと同じところにある。
G7広島サミットに自工会副会長として出席したスズキの鈴木俊宏社長によれば、牛フン10頭分で1台が1日ぶん走れるガスが取れるとのこと。つまり、インドにいる3億頭の牛で3000万台のクルマが動かせることになる。
カーボンニュートラルの取り組みはなにも「電動化(BEV化)」だけでないことに気づかせてくれるこのあっぱれな試み、北海道など地域を限定すれば、日本でも可能性がある気がする。スズキのチャレンジに期待したい!
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