■「4年間でゼロから170万台まで伸ばす」という覚悟
「航続距離1,000km」「電費世界トップ」というフレーズも強烈だが、2026年から市場投入を開始して、4年後の2030年に170万台のBEVを生産・販売する…というのもすさまじい話。なおBEVファクトリーが提供する170万台【以外の】BEV180万台(350万台-170万台=180万台)は、「既存のトヨタ車にBEVユニットを搭載して販売する予定」(トヨタ中嶋裕樹商品担当副社長)とのこと。これもこれですごい話だ…。
ちなみにテスラ社がグローバル販売台数約3万台規模だったのは2014年のこと。そこから8年かかって、2022年には約130万台まで成長させた。それを、「BEVファクトリー」は2026年から次世代BEVを投入して、2030年までに170万台まで伸ばすという。
【投入予定車種と170万台の内訳】
・コンパクトSDNもしくはHB……36万台
・ミッドサイズSUV……36万台
・ラージサイズSDNもしくはHB……24万台
・ラージサイズSUV……60万台
・ラージサイズMPV……12万台
(※いずれもグローバル)
「これは確認ですが、BEVファクトリーは、次世代BEVを2026年から発売して、ゼロ台から4年で年間170万台販売まで伸ばす、ということですね?」
先行技術説明会の最後に実施された質疑応答で、当サイト記者から上記の質問を投げかけられた加藤武郎プレジデントは、「その覚悟です」と短く答えた。エンジニア出身らしい、簡にして要を得た回答だ。
加藤プレジデントによれば、「次世代バッテリー技術の商品化」、「半導体生産技術の伸長」、「AIを使った車両デザイン検証の省力化」、「新モジュール構造であるギガキャストの採用」、「自走生産技術」といった、トヨタが近年開発し続けてきた技術がここ数年で一気に実用化すること、さらにBEVはプラットフォームの共用化により派生車種が作りやすいこと、ステアバイワイヤ技術の進化によりコクピット位置の自由化、これに「ワンチームによる素早い意思決定」が掛け算となることで、純ガソリン車やHV車ではありえない開発時間の短縮(複数車種の同時期投入)が可能だという。
もっと突っ込んだ話をすれば、ここまで開発期間を縮めないと生き残っていけない競争が、いま世界の自動車界で起こっており、BEVファクトリーはそれに勝ち抜く使命がある、ということなのだろう。
トヨタは本気だ。本気で5年後も10年後もトップの座を譲るつもりはない。ルーレットですべての目にコインを置くようにしてきた施策の多くがここ数年で花開きつつあり、しかもそこで得たコインを、さらに上乗せして賭けようとしている。この挑戦が成功するかどうか、答えは数年後に明らかになる。「クルマ屋が作る次世代BEV」、楽しみに待っております。
※加藤武郎(かとう・たけろう)氏プロフィール
1967年愛知県生まれ。1989年トヨタ自動車入社。ボデー設計部などでプラットフォームの企画と開発に携わる。2019年トヨタZEVファクトリーに異動。2020年にはBYDとの合弁会社BTET(BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー)に出向し、bZ3の開発リーダー(CTO)を務める。2023年5月BEVファクトリー・プレジデントに就任
コメント
コメントの使い方在るともないともいえる。企業何て一つつまずけば、長年の努力が水の泡。
現に日野自動車奈落の底だよ
トヨタグループへの誹謗中傷を今すぐ止めなさい
トヨタ自動車に通報します