毎月発表される自動車販売台数ランキング。メーカー各社は販売台数増減に一喜一憂していると思うが、実はこのランキングは結構面白い。
新型車の登場だけではなく、マイナーチェンジ前の買い渋りや、販売店のキャンペーンや決算など、副次的な要因で販売台数は左右される。
自動車メーカーと販売店の通知表とも言えるものだ。ベストカーでは毎月26日号に掲載しているが、こちらをディーラー情報通の遠藤徹さんに分析してもらった。
なぜあのクルマが売れいているのか、一目瞭然です。
文:遠藤徹/写真:ベストカー編集部
販売台数データ/ベストカー2019年8月26日号
■2位のプリウスは生産が追いつかない状況
トヨタ勢は6車種がトップ10に名を連ね、しかも6月は5モデルが前年同月を上回る好調な販売を確保している。
プリウスは2018年末にマイナーチェンジしたのが追い風になっている。
いまだに生産が追い付かず、既に納期は10月の消費税引き上げ後に先送りされている。
3位のアクアは大幅なマイナスだが、こちらは年末にマイナーチェンジを控えていることもあり、定番車種ではあるのだがやや飽きられているのが実情だろう。
またトヨタ勢としてはカローラはセダン&ワゴンが2019年9月17日にフルモデルチェンジする末期モデルだが、シリーズ全体ではプラスを維持。
2018年6月に発売した「スポーツ」が好調に売れているのと、従来モデルも大幅値引きで売っているので買い得感による人気で堅調に売れている。
ルーミーも人気の根強さと2018年11月に改良し、安全対策を強化したのが要因でプラスを確保して6位。
7位のシエンタは2018年のマイナーチェンジで2列シート5人乗り車を加えたのが後押ししている。納車は3カ月待ちで10月の消費税引き上げ以降に持ち越されている。
ヴィッツは2019年早々に後継モデルにバトンタッチする予定の末期モデルでひと頃に比べると銘柄別のランキングは下降傾向にあるもののトップ10の圏内を維持している。
人気の根強さと、モデルが古くなり値引きが拡大し、買い得感が高まっているのが理由である。
トヨタ勢がトップ10の半分以上を占めているのは、各モデルの人気の高さ、最強のセールスパワーが支えになっているのは明らかだ。
2019年4月から東京地区で4系列店を統合、全店が全ブランドを扱うようになったのもプラスに貢献している。
この他日産とホンダ陣営が2車種ずつ分け合っている。日産はノートが1位、セレナが5位を確保。
ノートはプラス成長だが、セレナはマイナスと明暗を分けた。セレナは2019年8月1日にマイナーチェンジするので買い渋りがあると思われる。
それでもトップ10の圏内にあるのはノートが70%、セレナが40%の販売構成比を占めるe-POWER車の売れ行き好調が支えになっているため。
ホンダ・フィットは2019年11月中旬にフルモデルチェンジする予定の末期モデルだが、2ケタ台のパーセンテージでの伸びを確保している。
ナビや他のオプションサービス、低金利残価設定クレジットなどのキャンペーン効果が後押ししている。
フリードは2019年10月18日にビッグマイナーチェンジを控えているが、プラスを維持。フィット同様のキャンペーン効果が非常に大きい。
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