クリーンディーゼルの登場により日本でもディーゼルが市民権を得ている。
2019年1~10月のディーゼル乗用車の国内販売台数は14万8318台をマーク。これは過去最高だった2018年の17万7272台を上回って記録更新するペースだ。
マツダがラインナップを増やしていること、輸入車のディーゼル比率が上がっていることが要因と思われる。次世代自動車として減税、補助金があるのも魅力となっている。
ディーゼルが特殊な存在ではなくなり普及すると、おのずと初めて乗る人も増えてくる。初めてがゆえに陥りがちなミスもあるので取り上げていく。
ディーゼルエンジンもガソリンエンジン同様に内燃機関ではあるが、原理の違いから構造も異なる。
それゆえ、ガソリンエンジンではそれほど深刻にならないトラブルもディーゼルエンジンでは重症化することも少なくない。
本企画では初めてディーゼル車に乗る際に陥りがちなミスについて考察していく。ミスしたらクルマはどうなるのか? ミスした時にどう対処すべきなのをレクチャーしていく。
文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA、NISSAN、MAZDA、MITSUBISHI、ベストカー編集部
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ディーゼル車でガス欠してしまった!!
燃料がなくなることを一般的にガス欠と言いますが、基本的にはドライバーのウッカリが原因で、珍しいことではありません。ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンにかかわらず、ガス欠するとクルマにダメージを与えるということを覚えておいてください。
ガス欠したらJAFなどのロードサービスを呼ぶか、ガソリンスタンドで買ってきて燃料を入れてセルモーターを回せばエンジンはかかるでしょ、というほど簡単にいかない場合もあります。ガス欠はエンジンに致命傷を与える可能性があります。
特にディーゼルエンジンにとってガス欠は非常に深刻な問題となります。
ディーゼルエンジンはガス欠すると吸い込むべき燃料ではなくエアを吸ってしまい、燃料を送る配管がエアで詰まるとエンジンの再始動が難しくなったり、エンジンが不調になったりします。
ディーゼルエンジンの高圧燃料ポンプや燃料を吹く高圧インジェクターは軽油に潤滑性があるために使えるのですが、燃料切れによりその潤滑効果が失われ、空打ちして両方にダメージを与えたりと、ダメージは補機類にも及ぶ可能性があります。
最悪のケースでは、ガス欠により燃料がいかないことによりエンジンが焼き付くということもあります。ガス欠を甘く見ると大きな出費となります。
ガス欠の最も多い原因はウッカリをはじめとする人為的なものですから、ガス欠させないのが一番大切ですが、ディーゼル車でガス欠させたらどうすればいいのでしょうか?
ガス欠してエンジンの再始動ができない場合は、ディーゼルエンジンの大敵であるエアを抜いてやる必要があります。
外部から圧力をかけて強制的にエア抜きします。メーカーによって名称は異なりますが、プライミングポンプ(ハンドポンプというところもあり)を重くて押せなくなるまでポンピングした後にセルモーターを回します。
それでもエンジンが再始動しない場合は、その作業を繰り返します。
しかし、プライミングポンプの場所の特定など専門的な知識も必要ですし、非常に力のいる作業でもあります。
燃料のふき取り、受け皿を用意するなども面倒なため、JAFなどのロードサービスを呼ぶか、ディーラーに連絡するのが得策です。
日本で最も販売台数の多いクリーンディーゼルのマツダのSKYACTIV-D搭載車は取扱説明書にも強制的なエア抜きの記述はありません。それはプライミングポンプが装着されていないからです。
マツダではディーゼルのガス欠は深刻化することを見越し、クルマがガス欠の危険性を察知して、完全に燃料がなくなる前にガス欠状態にしてエンジンをストップ。
燃料は残っているのでパイプなどにエアが入ることはないため、再給油(10L以上が条件)すればエンジンが問題なく始動することになっています。
ディーゼル初心者を含め、ユーザーに優しい設計と言えるでしょう。とはいえ、ガス欠はクルマにダメージを与えるので、ガス欠には注意しましょう。
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