モニターに実際のサーキットを映しだし、本物のマシンさながらにサーキットをドライブできるレーシングシミュレーター。
今やF1チームもこぞって活用するほどそのリアルさは進化している。実際にレーシングシミュレーターを体験してみると、そこには予想以上に“リアルワールド”が広がっていた。
文:ベストカー編集部
ベストカー2016年4月26日号
ステアリングとブレーキは油圧式、1機約250万円としくみも価格も本格派!
最新のシミュレーター事情を探るため取材班が訪れたのは、東京・秋葉原に本店を置くドライビングシミュレータープロショップ『D.D.R』。
今回は、ここで助っ人プロドライバー陣も交え、ベストカーとオートスポーツ誌、ティーポ誌の3誌でレーシングシミュレーターを使った対抗レースを行い、最新シミュレーターの『D.D.R SIM』をじっくり体感した!
「D.D.R SIM」のステアリングとブレーキは油圧式。ステアリングやペダル類の重さや反力も実際のデータ等をもとにマシンごとにリアルに再現している。
さらにアクセルやブレーキ、ステアリング操作に応じてシートが前後左右に動き、Gフォースまでも再現するなど、本格的な作りだ。
ちなみに「シミュレーター1機の値段は約250万円」(D.D.R代表瀧井氏)とのことで、お値段もなかなかの本格派となっている。
さっそく“走行”を始めると、ステアリングは確かな重みがあり、ブレーキペダルを目一杯踏むためには相当な踏力が求められた。しかも、レースと同等とまで強力ではないものの前後左右にGがかかるので、数分乗っただけで額に汗が滲むほど。
今回はベストカーチームに、現役スーパーGT GT500ドライバーの千代勝正選手が助っ人として加入。レースは、千代選手が終盤にごぼう抜きを披露して見事優勝を果たした。
現役スーパーGTドライバーから見たシミュレーターのリアル度は?
「自分もトレーニングにシミュレーターを使っています」とは、その千代選手の談。
「ハンドルの切れ角も実際のマシンの感覚と合っているし、油圧式なのでブレーキタッチも実車に近いですよ」
と、現役GTドライバーもそのリアリティには太鼓判を押す。では、実際のマシンと違う部分はどういった部分なのか?
「レースでは天候や路面状況等が常に変わるので、そこはシミュレーターでは再現できない、実車との大きな違いですね。
ただ、逆に言えばシミュレーターはそういった要素が常に一定なので、タイムの変動はすべてドライビングの影響によるもの。なので、自分のドライビングを研究するには最適だと思います」
ちなみに走行料金は10分ごとに1000円で一般の方も利用可能。スーパーGTマシンを筆頭に、さまざまなカテゴリーのマシンが選択でき、実車の走行データを活用しつつ、それぞれのマシンの特性をリアルに再現しているのだという。
国内最高峰のスーパーGTでは、まだ全チームでシミュレーターを使っているわけではないが、すでに実車でのテストが厳しく制限された現代のF1では、シミュレーターは必須のツール。それほどまでにレーシングシミュレーターの重要性は増している。
レーシングシミュレーターは、もはやTVゲームのレベルではなく、極めて高いリアリティを持った“ハイテクマシン”なのだ。
- レーシングシミュレータープロショップ D.D.R AKIBA本店
- http://ddr.jp.net/
- アクセス:〒101-0021 東京都千代田区外神田3-11-2 ロックビル5F
- 秋葉原駅 JR電気街口より徒歩約5分
- 営業時間:12時〜22時
- 定休日:年中無休
- TEL:03-6206-8480
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