トヨタ ルーミーはなぜ8年半経っても販売ランキング上位に喰い込むのか? 人気の秘密とは? ライバルは? 新型はどうなる?

最大のライバル車、スズキソリオと比較

2025年1月に一部商品改良をしたソリオ/ソリオバンディット。フェイスリフトやエンジンの更新、運転支援更新など、大幅アップデートが施されている(写真はソリオ)
2025年1月に一部商品改良をしたソリオ/ソリオバンディット。フェイスリフトやエンジンの更新、運転支援更新など、大幅アップデートが施されている(写真はソリオ)

 スズキは今、小型車にも力を入れるが、2024年度の国内販売状況を見ると、81%を軽自動車が占める。メーカーのイメージは、依然として軽自動車が強いから、販売面ではトヨタブランドが有利だ。ルーミーが発売から8年半を経過しながら今でも好調に売られる背景には、トヨタで買える小型車サイズのスーパーハイトワゴンという位置付けがある。

こちらはソリオバンディット。ルーミーと比べ、ソリオとソリオバンディットともに迫力のある顔つきだ
こちらはソリオバンディット。ルーミーと比べ、ソリオとソリオバンディットともに迫力のある顔つきだ

 しかも価格が割安だ。標準ボディで実用装備を充実させたルーミーG・2WDは193万9300円、エアロパーツなどを備えたカスタムG・2WDも211万8600円に収まる。

ソリオHYBRID MZとソリオバンディット HYBRID MVには、電動パーキングブレーキやブレーキホールドが採用されている
ソリオHYBRID MZとソリオバンディット HYBRID MVには、電動パーキングブレーキやブレーキホールドが採用されている

 軽自動車になるN-BOXの標準ボディは2WDが173万9100円、カスタム2WDは192万3900円だから、軽自動車のスーパーハイトワゴンに約20万円を加えると、小型車のボディと1Lエンジンを得られる。自宅の近くに登り坂が多い、高速道路を使う機会があるなど、走りの余裕を求めるユーザーはルーミーが買い得と判断する。

 そもそもルーミーが開発された背景には、軽自動車の好調な売れ行きにストップを掛ける役割もあった。きっかけは、2014年に先代スズキハスラーが売れ行きを増やし、ダイハツとの間で激しい販売合戦が展開されたことだった。両社とも新車の在庫を中古車に卸し、販売台数の粉飾を行って、2014年には軽自動車の国内販売比率が41%に達した(2024年度は36%)。

 この時に焦ったのが軽自動車を生産しないトヨタだ。ダイハツに大急ぎで、スーパーハイトワゴンの小型車版になるルーミーとその姉妹車を開発させた。開発者によると「開発期間は約2年間」と短く、2016年に発売している。

 大急ぎで開発したから、ルーミーのクルマ造りには粗さが目立つ。1Lエンジンは車両重量のわりに動力性能が足りない。ターボも選べるが、実用域の2500回転付近でノイズが大きい。ステアリングの反応は曖昧で、乗り心地も粗く、走行安定性も良くない。後席は床と座面の間隔が不足して足を前側へ投げ出す座り方になり、座面の柔軟性も乏しい。

リアシートを前方にダイブイン格納させると、自転車などの大きな物からカーペットなどの丈の長い荷物まで積載可能
リアシートを前方にダイブイン格納させると、自転車などの大きな物からカーペットなどの丈の長い荷物まで積載可能

 このような欠点が散見されるのにルーミーが好調に売れる理由は、先に挙げたトヨタブランドの強さ、それから運転しやすいサイズでも高い天井で車内は広く、荷室と収納設備の使い勝手も優れているからだ。荷室は床が低く天井は高いから、大きな荷物も積みやすい。荷室の床を反転させると、汚れを落としやすい素材が貼られ、自転車などを積んだ後の清掃もしやすい。

 収納設備も豊富で、カップホルダーはさまざまなサイズに対応できて、500mlの紙パックも収まる。この優れた実用性に、トヨタ車の安心感、どの地域でも購入しやすい充実した販売網、さらにライバル車の少なさも加わり、ルーミーは長期間にわたって好調に売れ続けている。

 それでも購入時には、ソリオの試乗車と乗り比べを行い、先に挙げた動力性能、走行安定性、乗り心地などを確認したい。そのうえでルーミーを購入すれば、選択を誤らない。

次ページは : 新型ルーミーの発売は早ければ2027年?

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