【ダイハツが快進撃!】ロッキー兄弟、ルーミー4姉妹車 売れまくりの理由は??

 最近、ダイハツ車に勢いを感じる。車種別販売ではN-BOXが軽販売5年連続NO.1と突出しているものの、メーカー別の軽販売では2019年の年間販売台数は61万5240台(前年比100.6%)でダイハツが5年連続NO.1を死守している。ちなみに2位はスズキで57万3986台(前年比97.8%)、3位のホンダは36万4833台(前年比98.7%)と続く。

 なかでもダイハツが開発&生産しているOEM車が絶好調だ。ダイハツロッキーの姉妹車、トヨタライズは発売した月となる2019年11月が登録車4位、12月が2位、2020年1月にはNO.1を達成している(自販連データ)。

 また2016年に発売したコンパクトミニバンのダイハツトールおよびトヨタ&ルーミー&タンク、スバルジャスティの4姉妹も好調だ。

 ここ半年以内のデータを見ると、タンクとルーミーが登録車トップ10のなかにランクインしており、ルーミーが最高3位、タンクが最高5位となっている。

 そこで、なぜ、今、ダイハツ車およびダイハツのOEM車が売れているのか? ライバルに対して何が勝っているのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。

文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部 ベストカーWEB編集部

【画像ギャラリー】ライズ&ロッキー、ルーミー4姉妹車の見分け方詳細写真


ダイハツがOEM供給しているトヨタ車が軒なみヒット

自販連の新車販売台数データで、トヨタライズは2019年11月が4位(7484台)、12月が2位(9117台)、2020年1月が1位(1万220台)
こちらはライズの姉妹車、ダイハツロッキー。新車販売台数は2019年11月が4294台で16位、12月が3514台で16位、2020年1月が3153台で21位

 最近、ダイハツ車、あるいはダイハツが開発を受け持つトヨタのOEM車が好調に売れている。まず2019年11月に発売されたコンパクトSUVのダイハツロッキー&トヨタライズが挙げられる。

 ライズは発売された2019年11月に、プリウス(PHVとプリウスαを含む)と同等の7484台を登録して、登録車販売4位に入った。ロッキーも4294台で16位に入り、インプレッサ(XV含む)を超える売れ行きとなった。

 2019年12月の自販連データでは、ライズが9117台を登録してプリウスを上回り、小型/普通車販売ランキングではカローラシリーズに次いで2位に入った。

 ロッキーは3514台(16位)だから2019年11月を下まわるが、C-HRと同等で販売ランキングでは上位に入る。

 自販連データでは2019年12月に1位となったカローラシリーズだが、シリーズの合計値となっているため、個別に台数を問い合わせてみると、カローラアクシオが750台、フィールダーが1110台、カローラスポーツが970台、カローラセダンが1690台、カローラツーリングが4530台という内訳だった。

 カローラセダンとツーリングを合わせた台数でも6220台となるから、実質、ライズは登録車販売台数1位となる。

 直近のデータとなる2020年1月の自販連データでは、8480台の2位のカローラシリーズに1740台の差をつけてライズが1万220台で1位となった。カローラはアクシオやフィールダー、カローラセダン&ツーリングを含んだシリーズ全体の販売台数だからも圧勝といってもいいだろう。

一番右は対前年同月比

トヨタルーミー&タンク、ダイハツトール、スバルジャスティの4姉妹車

 背の高いコンパクトカーのトヨタルーミー&タンク/ダイハツトール/スバルジャスティの4姉妹車にも注目したい。

 ダイハツが開発したトールをトヨタにOEM供給したのがルーミー&タンク。そもそも、この2車種は取り扱う販売店が異なり、ルーミーはトヨタ店とカローラ店扱い、タンクはトヨペット店とネッツ店扱いとなっている。

左上からトヨタルーミー、右上トヨタタンク、左下ダイハツトール、右下スバルジャスティの4姉妹車

 東京地区では2019年4月から全車種全店扱いになり、2020年5月からは全国のトヨタで全店扱いになる。さらにスバルにもOEM供給され、ジャスティとして販売されている。

 発売は2016年11月だから今では3年を経過するが、好調な売れ行きを保つ。2019年の登録台数は、1ヵ月平均でルーミーが7638台、タンクは6210台、トールは2228台で、ジャスティは240台と低いものの、4姉妹車合計では1ヵ月平均で1万6316台に達した。

 2019年の小型/普通車における車名別販売ランキングでは、1位はプリウスで1ヵ月平均1万466台であった。

 ルーミー4姉妹車を合計すると1万6000台を超える。ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3姉妹車を合計しても、1ヵ月平均で1万5265台だから、軽自動車を除いたボディタイプ別登録台数ではルーミー4姉妹車を合わせると1位になる。

■2019年10~12月のトヨタルーミー&タンク、ダイハツトール、スバルジャスティの販売台数
●2019年10月:ルーミー/3位6962台、タンク/5位5420台、トール/26位2071台、ジャスティ/191台
●2019年11月:ルーミー/5位7132台、タンク/8位6114台、トール/39位1253台、ジャスティ211台
●2019年12月:ルーミー/7位6015台、タンク/12位4695台、トール/39位1229台、ジャスティ180台

ダイハツ製の小型車が売れる理由

全長3995mm、全幅1695mm、全高1620mmでホイールベースは2525mm(ロッキー&ライズ共通)。ユーティリティ性は高い

 このようにダイハツ製小型車が好調に売れる背景には、複数の理由がある。筆頭に挙げられるのは、車両のコンセプトが国内市場のニーズに合っていることだ。

 2019年に国内で新車として売られたクルマの内訳を見ると、軽自動車が37%で最も多く、次いでコンパクトカーの25%、SUVの15%と続く。

 小型/普通車ではコンパクトカーとSUVが人気のカテゴリーだから、コンパクトなSUVを開発すれば好調に売れると考えられ、ヴェゼルやC-HRは人気車となった。

 それでも全幅は少しワイドな3ナンバー車だから、コンパクトなSUVを求めるすべてのユーザーが納得したわけではない。

 その点でロッキー&ライズは、実用的な5ドアボディを備えた数少ない5ナンバーサイズのコンパクトSUVだ。

 全長も4mを下まわる。クロスビーも同様だが、空間効率を追求したデザインだから、車内が広い代わりにSUVらしさはロッキー&ライズよりも少し希薄だ。

 ロッキー&ライズはRAV4をコンパクトにしたようなSUVの典型的なスタイルだから、幅広い年齢層から支持され、特にトヨタブランドのライズは好調な売れ行きになった。

「トヨタの企画力+ダイハツの開発力/製造力+トヨタの販売力」で売れた!

ルーミーカスタムは全長3725×全幅1670×全高1735mm。コンパクトなサイズにゆとりのある室内長2180mmを実現しているパッケージング

 ルーミー系4姉妹車は、全長が3700mm(標準ボディ)、全幅は1670mmの小さなボディでありながら、全高は1735mmで背が高く、後席側のドアはスライド式だ。

 この小さなボディと高い天井、スライドドアを装着する手法は、売れ筋の軽自動車と共通化されている。2019年の国内販売で1位に入ったN-BOX、2位のタント、3位のスペーシアは、すべてこのタイプだ。

 そして全長が4m以下のコンパクトカーで、高い天井とスライドドアを備えた既存の車種はソリオだけなので、トヨタブランドのルーミー&タンクが加わると絶好調に売れた。

 以上のように5ナンバーSUVのロッキー&ライズ、後部にスライドドアを備えた背の高いコンパクトカーのルーミー系4姉妹車は、いずれも国内市場のニーズに合っていて、なおかつ類似車種が少なかった。

 そこをダイハツが商品化して、全国に約4900店舗とされるトヨタディーラー網を使って販売したから売れ行きを伸ばせた。

 今のダイハツはトヨタの完全子会社だから、トヨタの開発/製造部門のひとつに属する。

 その意味でルーミー系4姉妹車とロッキー&ライズは「トヨタの企画力+ダイハツの開発力/製造力+トヨタの販売力」が結集して人気車となった。

 その一方で別の見方もできる。ルーミー系4姉妹車、ロッキー&ライズとも、過去に切り捨てた商品の焼き直しとも受け取られるからだ。

 例えばルーミー系4姉妹車は、1999年に発売されて2005年に終了したファンカーゴに商品形態が良く似ている。

1999~2005年に販売されていたトヨタファンカーゴ

 ファンカーゴはスライドドアを装着していないが、全長が4m以下で全高が1700mmのボディ、後席をコンパクトに畳んで得られる広い荷室など、主要機能はきわめて近い。

 この後ファンカーゴは中途半端に背の低いラクティスにフルモデルチェンジされ、人気を下げてしまった。

 また後席にスライドドアを備えた実用的なコンパクトカーとしては、ユニバーサルデザイン(誰でも使いやすく感じられるデザイン)の考え方を盛り込んだラウムもあった。

 1997年に初代モデルが発売され、2003年に2代目が登場したが、2011年頃に販売を終えた。

 この後にポルテが登場して、現行型は姉妹車のスペイドを含めて2012年に発売されたが、ボディの左側は1枚のスライドドア/右側は前後2枚の横開きドアという構成は個性的だ。

 低床設計で優れた商品だが、魅力が分かりにくく売れ行きも伸び悩み、ルーミー系4姉妹車の登場を招いた。

 コンパクトなSUVも、1994年に発売された初代RAV4は、5ナンバーサイズと新鮮な外観デザインが注目されて人気車となった。

 その後は北米など海外市場を重視してボディを拡大させ、国内販売を終えた。SUV人気がさらに高まったのを受けて、現行型が2019年に復活したが、開発段階で国内販売することは考えておらずボディは大柄だ。

1997~2006年まで販売されていたダイハツテリオス&トヨタキャミ

 コンパクトなSUVでは、1997年にダイハツテリオスが発売され、1999年にトヨタブランドのキャミを加えた。後輪駆動ベースのコンパクトなオフロードSUVで、売れ行きは伸び悩んだが、走破力の優れた小さな5ドアボディは積雪地域の移動手段に最適であった。

 テリオス&キャミは、2006年にフルモデルチェンジを行ってダイハツビーゴ&トヨタラッシュになった。これは2016年に販売を終えている。

 後輪駆動ベースの4WDを備えたSUVだから、悪路走破力が高い代わりに後席は狭く、ロッキー&ライズの方が前輪駆動ベースで実用的だ。それでもコンセプトには重複する面がある。

5ナンバーサイズのSUV、トヨタラッシュ&ダイハツビーゴは2016年に販売終了。トヨタ&ダイハツの5ナンバーサイズのSUVの空白期間が4年あまりもあったため、トヨタライズ&ロッキーの人気は一気に爆発した?

国内のユーザーに目を向けたのが奏効

ダイハツの新しいプラットフォーム、DNGA。第一弾はタント、第二弾はロッキー&ライズ、第三弾はタフトとなる。今後登場するダイハツの新車はDNGAが採用されていくはずだ

 トヨタは2019年に971万台のクルマを世界で売ったが(ダイハツと日野を除く)、国内の販売総数はダイハツ製軽自動車を含めて161万台だ。

 国内販売比率は17%になる。この比率は今の日本車メーカーでは高い部類だが、国内販売がピークを迎えた1990年には、トヨタは世界生産台数の約50%を国内で売っていた。

 それが1998年に40%、2002年に30%、2007年に20%と、次第に国内比率を大きく下げてしまう。

 国内の売れ行きが下がる一方で、海外が増えたからだ。商品開発も海外中心になり、国内向けの魅力は下がり、ますます販売が落ち込む悪循環に陥った。この傾向は他メーカーが顕著だが、トヨタにも見受けられた。

 2008年末に発生したリーマンショック後は、クルマの売れ行きが世界的に下がり、この流れのなかでファンカーゴ、ラウム、ビーゴ&ラッシュなども廃止された。

 この後に改めて投入されたのがルーミー系4姉妹車やロッキー&ライズだから、一度中断された国内向け商品の復活という見方もできる。

 つまり日本のユーザーに向けた商品を投入すれば売れ行きは伸びて、海外に目移りすれば下がる当然の結果だ。

 そして今のダイハツは、トヨタの国内向け商品を担当するため、同社の手掛けたクルマはトヨタの強力な販売網で売られる。その結果、売れ行きも伸びた。

 また従来のダイハツは軽自動車が中心のブランドとされたが、最近はロッキー/トール/ブーンなどの小型車にも力を入れて、TV・CMの放映も目立つ。

 ダイハツの販売店からは、

 「軽自動車税が値上げされ、自動車税は1L車が年額2万9500円から2万5000円に下がった。その結果、以前は2万2300円だった税金の差額が今では1万4200円に縮まった。これでは軽自動車の優位がいつまで続くか分からず、小型車にも力を入れている」という声が聞かれる。

 ホンダや日産が軽自動車の売れ行きを伸ばす一方で、ダイハツとスズキは小型車にも力を入れる。

 市場の縮小が進む中で、小型車と軽自動車の混戦がますます激しくなってきた。この荒波を乗り越えるべく、ダイハツはトヨタと手を組んで、売れるクルマを開発している。

 そしてかつてのシャレードのようなトヨタブランドでは売られない専用の小型車もあると、さらにダイハツの魅力が一層際立つだろう。

 それは無理でも、ロッキープレミアムのような専用のグレードがあると、選択肢が広がって小型車選びが楽しくなりそうだ。

 そして、最近ダイハツのクルマが変わったとされるのは、新しいプラットフォームDNGAによるところが大きい。トヨタのTNGA同様、評価が高い。

 DNGA第一弾はタント、第二弾はロッキー&ライズ、そして第三弾となるタフトは、2020年7月に発売予定となっている。

 ダイハツは、日本のユーザーにとって、トヨタを超える親しみのあるメーカーになってほしい。

2020年7月上旬に発売予定のスズキハスラー対抗のダイハツタフト

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