国内のユーザーに目を向けたのが奏効
トヨタは2019年に971万台のクルマを世界で売ったが(ダイハツと日野を除く)、国内の販売総数はダイハツ製軽自動車を含めて161万台だ。
国内販売比率は17%になる。この比率は今の日本車メーカーでは高い部類だが、国内販売がピークを迎えた1990年には、トヨタは世界生産台数の約50%を国内で売っていた。
それが1998年に40%、2002年に30%、2007年に20%と、次第に国内比率を大きく下げてしまう。
国内の売れ行きが下がる一方で、海外が増えたからだ。商品開発も海外中心になり、国内向けの魅力は下がり、ますます販売が落ち込む悪循環に陥った。この傾向は他メーカーが顕著だが、トヨタにも見受けられた。
2008年末に発生したリーマンショック後は、クルマの売れ行きが世界的に下がり、この流れのなかでファンカーゴ、ラウム、ビーゴ&ラッシュなども廃止された。
この後に改めて投入されたのがルーミー系4姉妹車やロッキー&ライズだから、一度中断された国内向け商品の復活という見方もできる。
つまり日本のユーザーに向けた商品を投入すれば売れ行きは伸びて、海外に目移りすれば下がる当然の結果だ。
そして今のダイハツは、トヨタの国内向け商品を担当するため、同社の手掛けたクルマはトヨタの強力な販売網で売られる。その結果、売れ行きも伸びた。
また従来のダイハツは軽自動車が中心のブランドとされたが、最近はロッキー/トール/ブーンなどの小型車にも力を入れて、TV・CMの放映も目立つ。
ダイハツの販売店からは、
「軽自動車税が値上げされ、自動車税は1L車が年額2万9500円から2万5000円に下がった。その結果、以前は2万2300円だった税金の差額が今では1万4200円に縮まった。これでは軽自動車の優位がいつまで続くか分からず、小型車にも力を入れている」という声が聞かれる。
ホンダや日産が軽自動車の売れ行きを伸ばす一方で、ダイハツとスズキは小型車にも力を入れる。
市場の縮小が進む中で、小型車と軽自動車の混戦がますます激しくなってきた。この荒波を乗り越えるべく、ダイハツはトヨタと手を組んで、売れるクルマを開発している。
そしてかつてのシャレードのようなトヨタブランドでは売られない専用の小型車もあると、さらにダイハツの魅力が一層際立つだろう。
それは無理でも、ロッキープレミアムのような専用のグレードがあると、選択肢が広がって小型車選びが楽しくなりそうだ。
そして、最近ダイハツのクルマが変わったとされるのは、新しいプラットフォームDNGAによるところが大きい。トヨタのTNGA同様、評価が高い。
DNGA第一弾はタント、第二弾はロッキー&ライズ、そして第三弾となるタフトは、2020年7月に発売予定となっている。
ダイハツは、日本のユーザーにとって、トヨタを超える親しみのあるメーカーになってほしい。
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