ちょっとマニアックな話だが、サスペンションについて紹介しよう。低コストのFF車などに多く採用される「トーションビーム式」。
比較的シンプルな構造で、部品点数や可動部分を大きく減らせるのがメリットだが、いっぽうでその乗り味についての評価はそれほど高くない。トーションビームでいい走りは期待できないのか?
文:鈴木直也
ベストカー2016年12月10日号
欧州車は「トーションビーム式」も走りがいい
最近はFF車のリアサスといえばトーションビームが定番だが、なぜトーションビームが多用されるのかといえば、コイツがクルマを開発する側にとって実に使い勝手のいいレイアウトだから。
シンプルな構造だからコストは安いし、スペース効率がいいからパッケージング面でも有利。
もちろん、操安性や乗り心地では妥協を強いられる部分もあるが、トータル効率で考えるとこれを凌駕するサスペンションレイアウトはなかなか存在しない。
だから、ぼくはトーションビームを“妥協のチャンピオン”として高く評価しているのだけれど、唯一不満なのが国産メーカーの開発姿勢だ。
だって、同じトーションビームでも、欧州車と国産車では操安性や乗り心地の平均点が顕著に違うんだもん。
例がルノールーテシアと日産シルフィ。この両車は同じ日産Bプラットフォームを使うFFコンパクトだけど、その走りの差は月とスッポン。とても同じプラットフォームとは思えない。
これはトヨタでも同じ。ミニバンはしょうがないにしても、もうちょっと前向きに足回りを開発してほしいと思うことしきりなのだ。
高級食材(凝ったサス)を使えば誰でもソコソコの味(走り)は実現できる。トーションビームみたいなありきたりの素材からいい味を引き出すことこそ、技術者の腕の見せ所ではありませんか?
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