スペック好きだとなにかと気になるパワーや重量の数値。なかでもkg/ps=パワーウェイトレシオは、ついつい計算して一喜一憂してみたり……。
そんなスペック好きの大好物、パワーウェイトレシオはどのくらい意味があるのか? R35型GT-Rの元・開発責任者の水野さんに解説してもらった。
ベストカー2017年4月10日号
数値だけ追っても速さには結びつかない
いきなりですが、速さとパワーウェイトレシオの間に、関係はまったくありません。速さに関係するのは0~4000回転領域のトルクウェイトレシオです。
私はレースに携わっていた時に、回転数が上がりすぎないエンジンを作れというオーダーをしました。
7000~8000回転の間しかパワーゾーンがないエンジンより、2000回転から4000回転の間でトルクウェイトレシオがしっかりあるクルマのほうが速いからです。
クルマを軽くして、パワーを上げればパワーウェイトレシオの数値は下がります。
でもそれでパワーウェイトレシオが「1」とか「2」のクルマを作っても、タイヤにかかる荷重が抜けちゃうようじゃ、まったく意味がないんです。
F1マシンは確かに軽量ですが、あれは空力によってダウンフォースがかかった状態を考えているからです。自重+空力による荷重。
それでタイヤにグリップ荷重を与えているんです。だから静止した状態の車重から計算するパワーウェイトレシオには、何の意味もありません。
まとめますと、大事なのはパワーウェイトレシオよりもトルクウェイトレシオのほうで、そのウェイトっていうのは、空力ぶんも入れて考える必要があるよ、ということなのです。
そこをわかっていないと、いくら見かけ上の数値はよくても、たいして速くもないスーパーカーしかできないよ、ということです。
ポルシェ 911ターボ S
最高出力=580ps/車両重量=1600kg
パワーウェイトレシオ:2.76
日産 GT-R NISMO
最高出力=600ps/車両重量=1740kg
パワーウェイトレシオ:2.90
ホンダNSX
最高出力=581ps/車両重量=1780kg
パワーウェイトレシオ:3.06
ランボルギーニ アヴェンタドール S
最高出力=750ps/車両重量=1575kg
パワーウェイトレシオ:2.10
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