「走りのパワー感」がちょうどいいクルマ
パッと思い浮かんだのはスープラでした。340psもあるのに……と思われるかもしれませんが、最近のスポーツカーは、ハイパフォーマンス化が進み、500ps、600psが当たり前。パワーのインフレ状態です。
制御しきれないパワーをESC(横滑り防止装置)やさまざまな電子制御パーツを駆使して口当たりよくセッティングされています。けれども本性は猛獣。なかなか制御できるものではありません。
その点スープラは、確かにかなりパワフルですが、充分に人のコントロールの範疇にあります。51.0kgmのぶ厚いトルクと広いトルクバンドも走りやすさの重要なポイントになっていると思います。
51.0kgmが、加速の刺激もコントロールの面白さも、場所が許せばドリフトコントロールだってできる扱いやすさの重要なポイントでもあるんです。まさにちょっと背伸びをして手に入るちょうどいいパワーなわけです。
もう一台まさにちょうどいいパワーを持ったスポーツカーがロードスターRF。これを次点にしたいと思います。
操縦性では1.5Lのロードスターのほうが上だと思いますが、2L(184ps/20.9kgm)のパワー&トルクは走らせていてホントにストレスがありません。気持ちよく、ちょっと刺激的な速さを持ち、走りの楽しさを味わえます。
ちょっと重心が高めで荷重の動きがわかりやすいので、自由自在のコントロール性も優秀です。これもこのクルマの魅力です。
【斎藤聡】
新型でもモデル末期でもない! ちょうどよく「熟成された」クルマ
コンパクトカーのなかで今も異彩を放っているのがスイフトだ。現行型が登場してから3年が経つ。誰が見てもスイフトとわかる明快なデザインで、インテリアにも少し古風な趣がある。
前席はベストポジションを取れ、運転感覚も自然だ。後席と荷室はそれほど広くないが、失望するほどではない。ダウンサイザーでも魅力的と感じる中身の詰まったコンパクトカーなのだ。
パワーユニットも魅力的である。多くのエンジンバリエーションを揃え、リーダーのスイフトスポーツは1.4LのDOHCターボを積む。パワフルなエンジンに1tを切る軽量ボディの組み合わせだから走りは刺激的だ。
サスペンションもうまくチューニングされている。6速ATに加え、6速MTを設定しているのもマニア好み。
燃費と快適な走りの妥協点が高いハイブリッド車や気持ちいい走りを見せる1L・3気筒ターボも魅力的な存在と感じる。先進安全装備はそれなりだが、最新モデルは納得できるレベルに向上した。
もう1台はコンパクトワゴンのシャトルだ。現行型は登場から5年が経つが、昨年大幅改良した。
センタータンクレイアウトの恩恵を受け、キャビンと荷室は広い。広いだけでなくシートアレンジも多彩だからたくさんの荷物を積みやすい。走りの実力もクラス平均を超えている。
操る面白さは薄いが、ハイブリッドZは軽快感のある走りを見せる。実用性の高さに加え、日常の取り回し性も良好だ。
【片岡英明】
コメント
コメントの使い方