警視庁が発表した令和4年から5年の盗難車ランキングTOP10にキャリーやハイゼットがランクイン。図らずも近年の軽トラ人気を裏付けた格好だが、その要因のひとつにアメリカの軽トラ人気があるのはご存じだろうか? 今回はアメリカで軽トラが人気になった理由とアメリカ流の軽トラの楽しみ方を紹介する。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:写真AC・スズキ
■優れた経済性と利便性で注目される日本の軽トラ
アメリカでは元来、ピックアップトラックの人気が高く、軽トラのような小型トラックは存在しない。アメリカ国内で販売されていない車種は製造から25年経過した車種でなければ個人輸入が難しい状況だったが、日本の1990年代の軽トラックが最近になって25年ルールをクリアし始めたことで軽トラの中古車が入手しやすくなった。
車検制度やクルマをていねいに扱う国民性により、日本の中古車は状態がよいことが以前から知られている他、燃料が高騰する社会情勢も影響。経済的で壊れにくい日本の軽トラに注目が集まったのは自然の流れといえる。
日本国内では販売台数だけ見るとスズキとダイハツが圧倒的だが、リアエンジン・リアドライブで“農道のポルシェ”と呼ばれるスバルサンバーや、ホンダアクティなどのモデルも人気。このような背景から日本の軽トラの中古車相場も上昇している。
■活躍の場は一般道よりも農場などの私有地が主流
日本と少し事情が異なるのは、一般道を走りまわるのではなく、広い私有地での移動や、農場やゴルフ場のメンテナンス、そして工事現場などで使われていることが多いこと。
広い敷地内を移動するために大排気量のピックアップトラックを使用するのではなく、小さく経済的な日本の軽トラックを使った方がコストメリットに優れるというわけ。
農家の人はキャリーやハイゼットを好み、軽トラの運転を楽しみたい人はアクティやスバルサンバーを選択する傾向にあるようだ。ピックアップトラックを見慣れたアメリカの人たちにとって、軽トラはオモチャ感覚で乗るクルマなのだろう。
そのような感覚であればカスタムが盛んになるのも当然。ローダウンや、リフトアップの他、アウトドアブームやキッチンカーブームの影響から、キャンピングカー仕様や、キッチンカー仕様など、さまざま。日本でも似たカスタムは見受けられるが、アメリカには日本ほど厳しい車検制度がないこともあり、日本以上に自由な発想でカスタムされている。
■軽トラの中古車相場と盗難件数が上昇傾向
懸念すべきは日本の中古車価格の高騰と盗難。90年代の日本のスポーツカーの高騰は周知の通りで、軽トラに同じ流れがきている。スポーツカー程ではないにしても中古車相場は上昇しており、それと共に盗難台数も増加傾向。
25年前の軽トラともなればクルマのセキュリティはないに等しい。さらに、農作業中は鍵をつけっ放しということもあり、非常に盗難しやすい状況。盗難リスクを考えれば、年代物の軽トラをお持ちの場合は売却して新しい軽トラに乗り換えた方がいいかもしれない。
【画像ギャラリー】無限の可能性を秘めている軽トラWORLD……盗難対策はぬかりなくやろう(3枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方