■03. アルファードがクラウンのパイを喰う
昨年最も多く売れたLサイズミニバンはアルファード。6.9万台を登録して対前年比は17%増えた。現行型の登場は2015年だが今も人気。この犠牲になったのは、実はクラウン。昨年は3.6万台にとどまる。アルファードの約半分で、対前年比も28%減った。
●トヨタ アルファード(2019年2月の月販台数:5651台 → 2019年12月の月販台数: 5183台 → 2020年1月の月販台数:5147台)
販売店では「今のクラウンはスポーティになり、ロイヤルサルーンも廃止され、従来のお客様が乗り換えに悩んでいる。その一方で最近は、テレビニュースなどで政治家がアルファードを使う様子が報道されている。
この影響もあり、法人のお客様を中心に、クラウンからアルファードへの乗り換えが多いですね」という。
セダンの王者もパイを喰われている現実、恐ろしい。
●トヨタ クラウン(2019年2月の月販台数:3802台 → 2019年12月の月販台数: 1687台 → 2020年1月の月販台数:1764台)
■04. スペーシアがワゴンRのパイを喰う
軽カテゴリーではスペーシアも大ヒット中だ。昨年は16.6万台を売り、N-BOXとタントに次ぐ3位に。現行スペーシアの登場は2017年12月だが、1年後にSUV風のスペーシアギアを加えた。
これの効果で昨年の売れゆきは、発売直後の2018年と比べても約9%増えている。
●スズキ スペーシア/スペーシア ギア(2019年2月の月販台数:1万5824台 → 2019年7月の月販台数: 1万2688台 → 2020年1月の月販台数:1万2411台)
ライバル車はN-BOX、タント、ルークスなど軽スーパーハイトワゴンだ。これらのなかでN-BOXとタントの販売数はスペーシアより多いから、この2車種のパイを喰ったとはいえない。
では、スペーシア人気の一番の被害車は? それはワゴンRだ。過去を振り返ると、2008年にスペーシア前身のパレットが誕生したが販売はイマイチ。2011年まで、軽全体の販売第1位はワゴンRで、首位は安泰だった。
が、2011年に初代N-BOXが発売されると状況が一変。2012年の軽販売1位はミライースだったが、2位にN-BOXが入り、ワゴンRは3位に後退する。2014年以降はタントも上位に入る。そして2016年には、ワゴンRはスペーシアにも順位を抜かれた。「軽スーパーハイトワゴンの大攻勢」である。
翌2017年はワゴンRが現行型に一新されてスペーシアを一時的に抜き返したが、2018年にはスペーシアが現行型に一新されてN-BOXに次ぐ国内販売2位となり、ワゴンRは後退。つまり、ワゴンRは身内のスペーシアにユーザーを奪われ、かつての販売1位の座を追われたことになる。
初代N-BOXの登場と大ヒットが契機となり、軽スーパーハイトワゴンが注目され、スペーシアは身内ワゴンRのパイを喰う結果となった……。
●スズキ ワゴンR(2019年2月の月販台数:9132台 → 2019年7月の月販台数: 6672台 → 2020年1月の月販台数:4182台)
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