■05. N-BOXがフィットやフリードのパイを喰う
今の大食いグルマの1位は、昨年25.4万台を販売したN-BOXだ。2位のタントは17.5万台だから大差をつけている。ちなみに登録車で1位のプリウスは12.6万台、その差は歴然だ。そして昨年のN-BOXの売れゆきは、国内で売られたホンダ車全体の35%に達している。
●ホンダ N-BOX(2019年10月の月販台数:1万5475台 → 2020年1月の月販台数:1万8830台)
タントも需要(パイ)を奪われたが、最も恐怖を味わっているのは身内となるホンダのモデルだ。2001年に初代が誕生したフィットは、2002年に25万台を登録して国内販売の1位になったが、昨年、モデル末期の3代目は7.4万台と低迷。
また、フリードは昨年ホンダの登録車では最も多く売れたが、8.6万台だからN-BOXの34%にすぎない。1997年、初代が11万台を登録して話題になったステップワゴンも、昨年は5.3万台。ダウンサイジングの嵐でN-BOXへの乗り換えが進む状況だ。
つまり、いろんなホンダ車からN-BOXへの乗り換えが顕著になっている。
こんな具合だから、国内で登録されたホンダの登録車は、2009年には46万台だったのに昨年は36万台に減少。逆に軽自動車は2009年の16万台から36万台へ急増している。
N-BOXの好調と登録車の衰退で、今のホンダは軽自動車の販売比率が50%を占める。N-BOXが絶対的な強さを誇り、N-WGNも人気。軽がますます色濃くなる。
●ホンダ フリード(2019年10月の月販台数:4038台 → 2020年1月の月販台数:5325台)
●ホンダ フィット(2019年10月の月販台数:3136台 → 2020年1月の月販台数:1735台)
■06. レクサスESがレクサスLSのパイを喰う
昨年、国内で売られたレクサス車のなかで、登録台数が最も多い車種はSUVのUX、2番目がLサイズセダンのESで1.1万台を登録した。
ESはFFモデルだが、ボディサイズはレクサスGSに近い。欧州のプレミアムブランドでは、ベンツEクラスやBMW5シリーズと同等だ。
●レクサスES(2019年2月の月販台数:1057台 → 2019年5月の月販台数: 1009台 → 2020年1月の月販台数:493台)
ただし、ESがこれらのライバル車を喰ったわけではない。レクサスの店舗に尋ねると「先代LSのお客様がESに乗り換えることが多い」という。LSのパイはESに喰われているという状況だ。
現行LSはボディを大幅に拡大して、全長5235mm、全幅は1900mmに達する。ベンツならSクラスのロングボディと同等だ。
先のレクサス店では「このサイズになると、法人のお客様なら会社の駐車場に収まるが、一般のお客様が使うマンションなどでは入庫が難しい。その点でESはボディがひとまわり小さく、FFだから車内の広さはLSとほぼ同じ。そこでLSからESへの乗り換えが増えている。
ただしベンツEクラスの上級グレードに移るお客様もいて、LSのサイズアップは顧客離れにも繋がっている。レクサスとして厳しいですね」と話す。
昨年(2019年)のLSの登録台数は、3000台少々だからESの約30%だ。先代LSが発売された直後の2007年頃は、1年間に1.6万台前後を登録したから、相当の台数がESに喰われたといえるだろう。まさにレクサス内の下克上だ。
●レクサスLS(2019年2月の月販台数:225台 → 2019年5月の月販台数: 169台 → 2020年1月の月販台数:172台)※ガソリン&HVの合計
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