高いシャシー性能が最大の魅力
筆者が考えるスカイラインの最大の魅力、それは「シャシー性能の高さ」だ。この高いシャシー性能によって、スカイラインは、ダイナミクスの仕上がりが素晴らしい。
スカイラインというと、エンジンスペックに目がいきがちだが、サスペンション、ステアリング、車体(フロア側)といった、高いシャシー性能があるからこそ、エンジンの魅力を存分に引き出すことができているのだ。
DASによる切れ味鋭い応答性によって、わずかなステアリングの操舵角で、連続するコーナーをすいすいと駆け抜け、高速走行では怒涛の直進性を発揮する。それでいて、キックバックや不快なステアリング振動がなく、とはいえ手応えもしっかりとあり、補舵力は軽く疲れにくい。
このDAS(ステアバイワイヤ機構)は、機械的に切り離されていることで(実際にはシステム失陥時にステアリングシャフトが繋がるクラッチ機構が備わっているのだが)、キックバックやステアリング振動といった不要なインフォメーションを排除できる。
DASは、EPSよりも緻密な操舵力制御が可能だが、その分、僅かな制御ロジックの違いで、ヒトはその操舵力の特性を、EPSや油圧PSと比べて「違和感」として感じやすくなる。
現行のV37スカイラインで世界初搭載された際には、試乗したジャーナリストの方々からは、色々と指摘されていたが、年次改良によって徐々に磨かれていったDASは、見事なまでのハンドリング性能を得ている。「スッキリしていてシャープは応答をする新しい操舵力特性」は、現行スカイラインのシャシー性能で、最も魅力的な性能だ。
スカイラインを味わうならばベースモデルを選択せよ!!
現行スカイラインでは、400Rに注目が集まりがちだが、306psのベースモデルの方が、ハンドリング性能、乗り心地、NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)、動力性能のバランスがよく、スカイラインの魅力を存分に味わうことができる、と筆者は考える。
V6特有の、「官能的」かつ、「滑らかなふけ上がり」は、どこまでも加速したくなる高揚感をもたらしてくれる。昔ながらの濃厚なV6エンジンのフィーリングを味わいたければ、これを選ぶのが適切だ。
400Rの鋭い回転フィールと大迫力のサウンドは魅力的ではあるが、公道では、エンジンの性能ピークを引き出せるようなチャンスはほとんどない。サーキットなどで全開走行ができる人でない限り、その魅力を味わうことはできない。それでも「400Rを走らせている」という満足感は得られるであろうが、スキルの範囲内で走らせて楽しいのは、筆者はベースモデルの方だった。
ぜひ、乗ってみてほしい!!
スカイラインは、長い期間に渡ってつくられ続けてきたクルマだ。幅広い年代層にファンが存在し、それだけに昨今のスカイラインに対しては厳しい声が多い。
いまのスカイラインにも、もちろん課題はある。かつてのスカイラインは、頑張れば庶民でも買える価格も魅力であった。ベースグレードの価格を調べると、現行のV37セダンGTが427万円(7AT、3.0リッターツインターボ)であるのに対し、先代のV36セダン250GTは279万円(5AT)、V35セダン250GTは280万円(4AT)、R34のセダン25GTは239万円(4AT)。現行型の価格の高さは際立っている。
だがV6ツインターボを搭載したモデルが427万円で手に入ると考えれば、競合車のレクサスISやBMW3シリーズ、メルセデスCクラスなどと比べて、コストパフォーマンスは高い。V6ツインターボを新車購入できるのは、今が最後のチャンスとなるだろう。乗ったことのない方は、ぜひ何かしらの機会を得て、乗ってみてほしい。乗ればその魅力に気づくはずだ。
消滅が話題になるほど、次期型が危ぶまれているスカイラインだが、冒頭でお話しした通り、星野副社長が「諦めない」と発言された、ということは、スカイラインの次期型プロジェクトは、何かしらのかたちで、動いているのだろう。
筆者は、「電動AWDとなった、スカイラインGT-Rの復活」が次期型スカイラインにとって最善のシナリオ、と考えているが、はたしてどうなるか。今後もスカイラインの動向からは目が離せない。
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