【ボンネットマスコット、ドアバイザー、背面タイヤ…】絶滅危惧装備の現状と行方

かつて一世を風靡したものでも時代に合わなければ淘汰される。クルマは実用性と趣味性の両面を持っているため、淘汰される数も多ければ、淘汰されるスピードも速い。

日本のクルマ史において、いろいろな装備、オプション、機能部品などが登場しては消えていく、を繰り返しているが、ここで取り上げる6種類の『絶滅危惧種』はどうなるのか?

文:永田恵一/写真:Nissan、Honda、Rolls-Royce、平野 学

かつては大人気だったものも消滅の危機

平成の元号の終わりが間近となっているなか、流行り廃りや時代の流れ、変化により「しばらく前までよく目にしたのにそういえば最近見ること、使うことがめっきり減った」というものや言葉は多いが、このようなケースはクルマではもっと顕著だ。

かつての例を挙げればカセットデッキ、CDチェンジャー、リアトレイの上に置くスピーカー、オンダッシュのカーナビ、後付けのカップホルダー、アフターパーツのハンドルへの交換、クルマに付いてくる車載工具などが思い浮かぶ。

ここでは絶滅危惧種に指定されそうなくらい見なくなったクルマの装備品にスポットを当て、該当する装備品の現状や今後の展望を含め考察していく。

★ボンネットマスコット
セダン系のベンツのスリーポインテッドスターやジャガーのリーピングキャットといったボンネットの中央に付く立体的なマスコットは日本車でも高級車に採用例があったが、最近見ることがめっきり減った。

ロールスロイスのボンネットマスコットのスピリット・オブ・エクスタシーは、触れるとボンネット内に収納される。安全性と盗難防止の両面を満たしている

ボンネットマスコットはクルマの先端、中央を把握するためにも使える便利な装備だったのになくなってしまった理由を考えると、突起物になることは可倒になるなどの法規を満たせば問題ないので、大きな理由ではないだろう。

ではなぜか見なくなったのかというと、空力性能を追求している現代のクルマには空気の流れを乱しそうなボンネットマスコットさえも付けたくないというのが大きな理由に感じる。

現在ベンツではEクラスの上級グレードやSクラス、ロールスロイスに装着されているのを考えると、今後はユーザーの希望が多い伝統ある高級車に限って現状維持に近い形で装着され続けるのではないだろうか。

★グレードのエンブレム
ひと昔前はデカールかバッジかはともかくとして、ほとんどのクルマにグレードを示すエンブレムがあったものだが、今では見ることはかなり減り、付いているのは高額車の上級グレードかスポーツモデルに多い傾向を感じる。

グレードを示すエンブレムが減った理由としてはコストダウン、量販車ではあまりグレードを示す意味がない、低いグレードだとひと目でわかってしまうのもユーザーとしてはあまり気分のいいものではない、といったことが浮かぶ。

今後も高額車の上級グレードやスポーツモデルといった自分のグレードをアピールしたいユーザーが多いと思われるクルマに関しては、クルマやユーザーのステータスを上げる意味も含め装着され続けるのではないだろうか。自己アピールのアイテムとして存在し続けるだろう。

細かなグレードエンブレムはほとんど消滅しているが、ハイブリッド、ターボ、AWDなどの機能的なものは現在も積極的に使用され、アピールの手段となっている

★イエローフォグランプ
イエローのフォグランプは悪天候時の視認性に優れるという機能的なメリットがありながら、最近見なくなった装備のひとつだ。

なおヘッドライトのバルブは平成18年1月1日以降の生産車だとイエローは車検に通らないこともあり、「フォグランプも?」という誤解も多いようだが、フォグランプのイエローバルブは合法だ。

イエローのフォグランプを見なくなった理由を考えると、ハロゲンヘッドライトが減りHIDやLEDヘッドライトが増えてきた現代では同時に点灯した際の見た目の色味のバランスが良くないためと思われる。

若い世代は特にフォグランプ=イエローというイメージはまったくないだろう。このことを踏まえるとイエローのフォグランプはさらに減る傾向と考えられる。

かつてはフォグランプ=イエローのイメージがあり、クルマ好きにとって憧れの存在となっていたが、現在のフォグランプは白色系の人気が圧倒的に高い

★ドアバイザー
ディーラーオプションで装着することが多かったドアバイザーは見た目はともかく、雨の中でも窓を少し開けて換気ができる、駐車中の暑さ対策で窓を少しだけ開けて駐車した際に運悪く雨が降ってもドアバイザーで助かる可能性があるなど、便利な装備だ。

なのに最近見なくなった理由を考えると、1つは新車を買う際に昔はよくわからないうちに付いているケースが多かったが、今は必要性をよく吟味して付けるようになった、喫煙率が下がり雨の中換気をする必要が薄れたといったことが浮かぶ。

あと、見た目。ないほうがスッキリしているてそれを好む人が増えたか。

ドアバイザーはホンダ系の無限のもののように優れた機能を持つ商品もあり、必要な人には必要なアクセサリーなので、今後も現状程度の販売はキープされるのではないだろうか。

ドアバイザーを装着すると見た目は少々モッサリしているが、雨の時にちょっと窓を開けても室内に雨が入り込まないので重宝する。装着していないクルマに乗った時に痛感

★スペアタイヤ
かつてスペアタイヤのないクルマはほとんどなかった。

しかし日本ではほぼすべての道路が舗装され、タイヤの耐久力が上がったこともありパンクに遭遇する確率が劇的に下がっているのでスペアタイヤを使う可能性は激減している。

重量増やスペースの確保、コスト増といったデメリットを天秤にかけるとパンク修理キットですませたほうがいいという判断の増加と、パンクしても80km程度の距離なら80km/hまでのスピードで走れるランフラットタイヤの普及により、今ではスペアタイヤのないクルマが多くなった。

今後もこの流れは進み、スペアタイヤが付くクルマは減少傾向と予想するが、岩などでタイヤの側面を損傷してしまった場合にはパンク修理キットでは対応できないので、個人的にはオプション設定されているクルマならスペアタイヤを積むことを薦めたい。

かつてSUVはスペアタイヤを背負ったモデルも多数あったのはカッコいい、オシャレと支持されていたからだ。現在はスペアタイヤはパンク修理キットにその座を奪われている

★サンルーフ
屋根の一部がガラス張りとなりシェードを外せば車内を明るくでき、チルトアップ機能を使った換気や開閉できることもあるサンルーフはかつて人気オプションのひとつだった。しかし最近のクルマで付いているクルマはあまり見ないというのが現状だ。

見ることが減った理由としては、サンルーフ付きのクルマは確かに外から見てもカッコいい。しかし付けた人に聞くと「ほとんど使ったことがない」とか「開けても思ったほど開放感も気持ちよさもない」という答えが多く、リピーターにはなりにくい。

またドアバイザーと同じように喫煙率が下がりサンルーフのチルトアップ機能を換気のために使うことも減り、総合的に考えると費用対効果が低いといったところだろう。

サンルーフは今後も少数ながらいるであろうサンルーフ好きや標準装備される高額車に支えられて、現状程度の販売は維持されると思われる。

1980年代に絶大な人気を誇ったサンルーフ。現在は完全な絶滅危惧種だ。室内で喫煙をすることが激減したことで上方から排気する必要がなくなったのが衰退の最大の要因か

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